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大杉一雄氏の「真珠湾への道」が講談社学術文庫に収録   

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以前にコメント欄で、ある歴史にお詳しい方から現代史研究家・大杉一雄氏の「真珠湾への道-開戦・避戦9つの選択肢」 という本を勧められていました。読んでみようと思ったのですが、Amazonの中古で8,000円近くの値段だったので躊躇していたのですが、それがつい先日、講談社学術文庫に新たに収録されていたことを知りました。

タイトルは新たに「日米開戦への道-避戦への九つの選択肢」に変更されています。


大杉一雄氏の著作については、以前に「日中戦争への道」を読んでその内容と緻密な考証に感動していたので、ぜひ「真珠湾への道」も読んでみたいと思っていたので、今回の文庫化は助かります。

ちなみに上・下巻に分かれていて、下巻はこれから(12/10発売予定)のようです。
上巻の方は早速購入して読み始めたところなのですが、やはり唸らされています。


日中戦争への道」も日米開戦への道」も大杉氏のモチーフは共通して「あの戦争は避けられなかったか」です。

日米開戦への道」のはしがきから少し引用してみます。 (強調箇所は引用者による)

筆者は、たんに開戦あるいは終戦を記念するときだけに限らず、あの戦争に関してもう一度考えるべきは、むしろ戦争はどのような経過を経てどうして起こったのか、あるいはあの戦争を避ける選択肢はなかったのか、そのために当時の人々はどのような努力をし、しかもなぜ失敗したのか、その原因は何であったのか、ということではないかと思うのである。

日米開戦の端緒が日米交渉の破綻にあったのにかかわらず、その実態を詳しく分析した著作はそれほど多くはない(学術書・論文も少数である)。それは従来の史書が、日本が戦争へ傾斜していった面を強調するのに急で、日本が、他方において、戦争以外の選択肢を求めていた史実に触れてこなかったからであろう。たとえば家永三郎『太平洋戦争』では、日米交渉にはほとんどページを割いていない。

(P.4~5)

引用した部分は私が普段から知りたいと思っていることと同じです。

今までの日本の戦争の語られ方は、「戦争で何をしたか」「戦争を始めたらどうなったか」というテーマが中心だったように思います。あの悲劇を忘れずに語り継いでいくためには重要なことですが、その一方で、「なぜ戦争になったのか?」「戦争は避けられなかったのか?」あるいは「もっと早く終わらせられなかったのか?」などはあまり語られていないのではないか、と。

戦争に限らず、失敗から学ぶことは重要です。しかし日本の場合、失敗の結果(戦争の惨劇)ばかりを見て、次に失敗しないためにどうすべきかという議論が表面的で浅過ぎる気がしています。

日中戦争への道」でも詳しく書かれていましたが、日中戦争(支那事変)勃発当初から、何度も様々な形(主に水面下)で和平交渉が行われ、時には中国側の要求のあわせた日本側のほとんど全面譲歩という案が合意寸前まで進んだことさえ何度かあったようです。
国民には「暴支膺懲」「蒋介石を相手にせず」など表向きには威勢のいいことを言っていましたが、水面下では外交で和平への努力が続けられていたことは複数の資料から具体的にも明らかなようです。

読んでいて、和平への糸口がこんなにもあったのに、いつも悪い方に転がってしまう歴史の皮肉に地団駄を踏む思いでした。

ともかく、イデオロギーに偏らず、どんな事実の積み重ねで日本の戦争の歴史が進んできたのかを知りたい人にとっては必読の書といえるのではないでしょうか。

膨大な資料にあたって緻密な考証を重ねてこのような良書を書き上げた大杉一雄氏に敬意を表するとともに、当時の歴史を詳しく知りたい方には大杉氏の著作をお薦めしたいと思います。


なお、今回紹介した「日米開戦への道」では、同じ講談社学術文庫の「日中戦争への道」を読んでおいた方が理解しやすい部分があるので、できれば時代の流れに合わせて先に「日中戦争への道」を読むと良いと思います。

ただ、いずれもかなり詳細に書かれているので史実の流れを把握し切れていない初心者の方にはあまりおすすめしません。


■関連過去エントリー

沖縄戦集団自決への歴史認識 大杉一雄氏の場合


■参考書籍

日中戦争への道 満蒙華北問題と衝突への分岐点 (講談社学術文庫 1846)
日中戦争への道 満蒙華北問題と衝突への分岐点 (講談社学術文庫 1846) 大杉 一雄

おすすめ平均
stars日中戦争の理解に不可欠の一冊

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日米開戦への道 避戦への九つの選択肢 上 (講談社学術文庫 1928)
日米開戦への道 避戦への九つの選択肢 上 (講談社学術文庫 1928) 大杉 一雄


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コメント

たくさん読まれてますね

はじめまして。昔のシリーズを読ませていただきました。
ジョナサンさんが戦前に学ぶべき点として「憲法改正の忌避」を選ばれたのには同意します。

「日本人は取捨選択がうまい」とか、「日本人は改良が上手」とか言われてますが、どうなんだかなぁ。それらはあくまで結果論であって、明治維新や昭和の時代を見ていると、むしろ「全否定、総取っ替え」が日本人の特性かなと思ったりします。
明治維新・明治体制の大目的は独立維持でそれは大成功だったとなってますが、改正・改良案(公武合体、雄藩参政)はずぱっと切り捨てられていますね。富国強兵の強兵は達成したけど、自給率は下がっちゃったしなぁ。
昭和の時代も、地租改正や農地改革じゃなくいきなり「満州に土地を用意した!」とか、「鬼畜米英・撃ちてし止まむ」が負けた途端に「アメリカ様、わたしはいい日本人です。なんだってやりますぅ~」だもんね。

史実も大事ですが、日本人の形態・性格(の変遷)も大いに学びたいですね。

国籍法改正

このブログの話題と、直接関係が無くて申し訳無いのですが、書き込みをさせていただきます。
国籍法改正についてごぞんじですか?
とんでもない悪法なのですが、これが可決されようとしているのです。今参院で審議されているのですが、このままだと11/28に審議が終われば可決されてしまいます。
国籍法改正について、このブログで話題に取り上げていただけないでしょうか。日本を貶める反日団体とも関連の深い話題だと思います。一人でも多くの人にこの悪法について知って欲しいのです。
申し訳ありませんがよろしくお願いします。

■乃木さんへ

初めまして。コメントありがとうございます。
返信が遅くなってすみませんでした・・・。

>明治維新や昭和の時代を見ていると、むしろ「全否定、総取っ替え」が日本人の特性かなと思ったりします。

たしかにそういう歴史がありますね。もっとも日本人の総意としておこなわれたわけではないですが。

>明治維新・明治体制の大目的は独立維持でそれは大成功だったとなってますが

実はこのあたりを私は疑っていまして・・・果たして日本は独立を脅かされるようなことはあったのか?と。
まぁ、維新政府がやったことはGHQみたいなもので、従来続いていた日本の歴史観や生活、宗教観をことごとくひっくり返してしまいましたし。いずれの時代も民衆レベルでは大混乱だったわけで、日本人の特性と言うよりは生き延びるための手段だったのかもしれませんね。
中国でも似たようなところがあるようで、どの国が攻めてきても生き延びられるように、いろいろな旗を用意しておいて、侵攻してきた国の旗を振って歓迎の意を示したというのが元日本兵の証言にありました。
一方で、ナショナリズムに燃えた中国人は侵攻国に反抗するわけで、そうなると、やはり国民性で語れるものではない気もします。

>日本人の形態・性格(の変遷)も大いに学びたいですね。

作られた”日本人像”に縛られたがゆえの社会問題も多々ありそうですから(日本人は勤勉、とか)ね。

よろしければまたお越しください。


■みほさんへ

拙blogは政治活動には関わりませんのであしからず。
(同じコメントをあちこちで投稿していますよね?)

国籍法に関するQ&A
http://www.taro.org/blog/index.php/archives/946

国籍法改正について語るための基礎知識(1):違憲判決の図解
http://d.hatena.ne.jp/inflorescencia/20081115/1226728277

国籍法改正について語るための基礎知識(2):裁判官たちは何を争い、何を国会に託したのか
http://d.hatena.ne.jp/inflorescencia/20081116/1226827321

また来ました(笑

>実はこのあたりを私は疑っていまして・・・果たして日本は独立を脅かされるようなことはあったのか?と。

卓見ですね。宮中と幕府の対立や国内不安を煽るには、前半が攘夷、後半が独立という旗しかなかったのでしょう。

本スレに戻ると、私は、日米交渉に入った時点で「詰み」だと思っています。支那事変は、あくまで日本と支那の2国間で解決すべきだったと。

ちわ

ブログのネタ元がばれてしまった・・・。
私も今、秦郁彦の『昭和史の謎を追う』を読んでいるところです。これ面白いですね、まだ(上)の半分くらいしか進んでいませんが。
「関特演」についてあまり知らなかったんですが、日本は対米戦の直前まで対ソ戦に突き進もうとしていたのに南部仏印進駐で一挙に南進論へ傾いていったというから、これも奥深いテーマですね。

返信が遅くなって済みません・・・

■乃木さんへ

>また来ました(笑

どうぞどうぞ何度でもいらしていただければ幸いです。
コメントも遠慮無用です。
ただ、今回のように一ヶ月近く返信できないこともあれば、数時間で返信することもありますので、過度な期待はお控え下さい(笑)

>支那事変は、あくまで日本と支那の2国間で解決すべきだったと。

これができればよかったんですけどね・・・なんせ相手も思惑や政治戦略、メンツ等のあることで、さらに国民党vs共産党の構図もありますし、利権を持っている他国も黙ってはいられないし・・・。
蒋介石に限って言えば、時間と空間の話が有名ですが、軍事力では日本に劣っても、ソフトパワーと対手への分析力では優っていたと思います。
結局、戦争は始めるよりも終わらせることの方がはるかに難しいということを教訓の一つとしなければならないか、と。


■くわっぱ上等兵さんへ

久々のコメントありがとうございます^^

>ブログのネタ元がばれてしまった・・・。

これは、くわっぱ上等兵さんのところのこと??
たしかに、いつもどうやってネタを集めているのかなぁとは思っていましたが^^;

『昭和史の謎を追う』は、内容もさることながら、秦氏の研究スタイルが見えてくるのも面白いですね。満洲事変の線路爆破の損傷具合の各説や本当に線路が70cm途切れても列車は脱線せずに通過できるのかを、鉄道研究所に確認をとるなど、歴史学者のフィールドワーク手法も興味深く読めます。
そもそも死んだと思われた桜花の発案者が実は生きていたという話を秦氏が調査して『昭和史の謎を追う』の中に書かれているというのをほかの本で読んだのが入手したきっかけなのでした。

本エントリーで紹介した「日米開戦への道」の下巻が出て今それを読み始めたので、『昭和史の謎を追う』(上)はいまだ途中なのですが、各章が独立しているので助かります(笑)

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