「多くの人は、見たいと欲する現実しか見ていない」(カエサル)
「自分の正しさを雄弁に主張することのできる知性よりも、自分の愚かさを吟味できる知性のほうが、私は好きだ」 (内田 樹)

考察NIPPONの書斎
このブログを書く上で参考にした本の一覧。現在194冊考察NIPPON-別館明治~昭和初期の貴重な動画を集めるブログ
(考察NIPPONの別館です)

近代日本動画資料室 更新情報

RSS表示パーツ

いま読んでいる本

おすすめの本

















↑この本の関連エントリーリストはこちら





カウンター(試験設置)

TOP > スポンサー広告 > title - 報道の質と受け止める側の問題TOP > メディアリテラシー > title - 報道の質と受け止める側の問題

スポンサーサイト   

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

報道の質と受け止める側の問題   

(前回の「報道に熱くなりすぎる人たち」の続きです。)

報道に煽られて人が熱くなってしまうことの問題を歴史問題にからめて書く前に、報道をどう受け止めるべきかを考えた過去エントリーを再掲しておきます。

シンドラー社製のエレベーターで高校生が亡くなった事故の報道について感じた疑問を書いたものです。

あの事故が起きた当時、エレベーターに乗る時、どのメーカーのものか確認した記憶がある人も少なくないでしょう。マスコミの論調は、シンドラー社製のエレベーターが悪いというものがほとんどでしたから。

でも、記者会見などでシンドラー社をバッシングしている様は、魔女裁判か公開リンチのようで、私はテレビを見ていて非常に気持ち悪かった記憶があります。

マスコミは、事故の原因と責任がどこにあるのか明らかになっていないにもかかわらず、メーカーであるシンドラー社ばかりを徹底的にたたき、社長を引きずり出して謝罪させました。そのことによって、国民の不安や不満の溜飲を下げることはできたかも知れない。
(そして報道番組やワイドショーは視聴率を稼げたかもしれない)

でも、本当の原因と責任の所在が明らかになり、問題点が改善されなければ、亡くなった高校生も浮かばれないでしょう。

多くの人が、あの事故の記憶が薄れてかけている今、あの事故の原因究明はどうなったのか・・・。


---以下、2007/6/11のエントリー再掲---

ちょっと話は変わりますが、実は一年ほど前、このブログを始めた当初にシンドラー社のエレベーター事故のことを何回かにわたって取り上げたことがありました。

エレベーター事故の報道について
シンドラー社叩きの陰で誰かがホッとしてる?
シンドラー社エレベーター事故の背景
説明会や謝罪をシンドラー社だけにやらせるだけで本当にいいのか?


テレビがこぞって感情的になってシンドラー社バッシングをしているのを見ていて、「こんな報道の仕方では問題の本質に近づけないのでは?」という疑問があってのエントリーでした。

またシンドラー社は日本でのシェアは低いですが、世界シェアでは2位のエレベーター製造会社だったようですし、そんな会社が?という疑問もありました

エレベーターも「乗り物」ですから、定期点検保守や設置工事に問題はなかったか?など、調べることは沢山あるのではないか?と。そこをキチンと調べて報道して初めて、改善されるべき問題が世の中に明らかにされる訳ですし、今後の事故を防ぐことになるでしょうし、それが報道の役割だと思っていましたから。


あれから一年、事故原因はいまだに断定できていないようですが、捜査の進捗についての報道はないかと思って探したら、以下の記事がありました。

ブレーキ異常見落としか・エレベータ事故から1年キャッシュ

東京都港区のマンションのエレベーターで都立高校2年、市川大輔さん(当時16)が死亡した事故で、警視庁捜査一課は2日までに、保守点検業者がブレーキの異常を見落としていたとの見方を強め、業務上過失致死容疑での立件の検討に入った。

ブレーキ系統に構造上の問題があった可能性もあり、製造元のシンドラーエレベータ(江東区)についても刑事責任の有無を慎重に調べている。

(2007/06/02 NIKKEI NET)

この記事でいくと、製造元より保守業者(エス・イー・シーエレベーター(株))の責任の方が重いようですね。
(「ほれ、言わんこっちゃない」と思わず言いそうになりましたよ。(^_^;   )

ところで最近、他社製のエレベーターでも相次いでロープ破断の問題が出てきていますね。

フジテック製もロープ破断・大阪市営住宅エレベーター(6/8)
日立系エレベーター15万基点検へ・札幌でロープ一部破断(6/4)
オーチス製エレベーター80基に不具合、国交省緊急点検(6/4)

それを受けて、国交省は全国すべてのエレベーターの実態調査を指示したそうです。

国交省、エレベーター30万基の調査指示へ

まさか、新品のエレベーターを設置したときからロープが破断していた、ということはないでしょうから、問題はおそらく「保守点検」にあるのでしょうね。

また、中国新聞の6月6日の社説では業界構造の問題を指摘しています。
エレベーター 事故1年 教訓生きたか

もともとエレベーターのメーカー系の業者には、納入価格を下げる代わりに、後の点検で利益を上げようとする構造があった。ところが独立系の点検業者の参入で競争が激化し、技術者の不足や、機械の情報が共有されないことによる対応力低下を招いたという指摘もある。安全より企業の都合優先になっていないだろうか。

シンドラー社製のエレベーター事故は、ブレーキ系統に異常があったとみられ、点検で異常が見逃された疑いが浮上している。ただ、構造上の問題も絡んでなかったか、いまだに全容が解明されないままなのは実にもどかしい。

亡くなった高校生の母親は十二階に住み、その後一度もエレベーターに乗らず階段を使うという。事故が起きてしまうと崩れた信用はなかなか元に戻らない。国と業界全体が連携して総点検し、安心して乗れる仕組みづくりを、あらためて考えてほしい。

(中国新聞 2007/6/6社説から一部引用)

1年前の事故の時に、エレベーター業界の問題をもっと明らかにして世に問うていれば、もっと早く何らかの対策が立てられたと思うのは私だけでしょうか。

テレビで事件・事故を感情的に煽るだけの薄っぺらい報道では、視聴率は稼げても、解決すべき問題は見えてきません。年金問題だって、本当に有効な対策を立てているのはどの党なのか、もっと国民が判断しやすいように報道すべきです。

そうでなければ誰のための報道なのか?国民のためにはなるような「報道」のありかたをメディアは真剣に考えて欲しいと思います。

(と主張しつつ、現実との乖離に実は若干あきらめモード(苦笑))

---再掲、ここまで---

※若干加筆修正してあります。
スポンサーサイト

ブックマークに追加する

コメント

耳が痛い

いや~耳が痛いですね。
一方向にむくとそちらに突き進んでしまうのが、私も含め日本人の悪いくせですね。
マスコミの報道の仕方に問題があるのでしょうけど、よく言われる民度以上の政治家は出ないと同じで、民度以上のマスコミもまた出ないでしょうから、やはり日本人の意識の問題でしょうね。

常に反対側にも意識をおいておくようにしなければ・・・
自戒を込めてそう思います。

■グリッティさん

>いや~耳が痛いですね。

いえいえ、グリッティさんは、あの「4枚カード問題」を見事に正解されていますから♪

※ 「4枚カード問題ってなに?」って方はこちらへ(↓)
http://jseagull.blog69.fc2.com/blog-entry-500.html

>一方向にむくとそちらに突き進んでしまうのが、私も含め日本人の悪いくせですね。

そうですね。まぁ日本人だけの特徴なのかどうかは私もわかりませんが、その傾向を自覚しておくことは大事だなぁと、思いますね。

>・・・やはり日本人の意識の問題でしょうね。

そう思います。
で、なんでこんなことを書いているのかというと、日本がやってきた戦争は、たしかに軍部の独走という例もあったけど、日本国民も結構それを支持してきたってことが気になっているからなんです。

って、ネタバレしちゃいましたが(笑)、そんな話につなげて続きを書いていく予定です。

へ~

私はソフト屋なんですけど、あれはハードだったんですか。てっきりソフトのバグだと思ってました。

■maroon_lanceさん

>てっきりソフトのバグだと

たしかに20階建てのビルのエレベーターで23階が表示された、なんて例もありましたけど、それはソフトの問題か、設置工事業者の設定ミスのなのか、・・・と色々な可能性がありますしね。
そろそろ明らかになってもよさそうなものですが。

ところで、保守業者のエスイーシー社がHPに出していた文書には、当初「現段階での社内調査では弊社の重大な過失や不作為は見つかっておりません」と書かれていたのが4日後に削除されているんですね。
社内調査で何らかの過失に気づいたか、あるいは責任逃れのためか、わかりませんが。

で、いまでも、その両方の文書が同社のWEB-SV上に残ってます(笑)
http://www.secev.co.jp/topics/topics060605.pdf
http://www.secev.co.jp/topics/topics060609.pdf
(上から5行目が変化してます。)

自動車事故も、ドライバーの問題、製品(車)の品質問題、整備業者のミス、と責任の所在は様々ですし、自動車の炎上事故で三菱だけを叩いていたころのマスコミを思い出しますね。

余談ですが私はネットワーク屋でして、構築時にファームのバグに泣かされることがあります。自分の設計や設定に問題がないことを証明できる証拠を揃えてからメーカーに投げるんですけど、なんでこっちの工数を使ってバグ出しの手伝いをしなきゃなんねぇんだよ!と思うことがときどき(笑)

私は制御系なので、聞いたとき、ああこりゃソフトだなと思いました。しかしよくよく考えてみたら、扉が開いたまま上昇するなんてのは、いくらなんでもソフトでは万全の対策している筈ですよね。やっぱりハードですかね、センサが壊れたとか。

■maroon_lanceさん

>センサが壊れたとか。

センサの故障だとすると、それを保守業者(しかも独立系)が発見できるレベルか?という疑問がでてきますね。でもエレベータで壊れてはいけない部分ですよね。フェールセーフがどうなっていたかとか・・・って、キリがなくなりそう(笑)

ともかく、気持ち悪いのはマスコミの姿勢、というお話でしたw

安いからと言って安全を犠牲にしては困ります

関心を持っていただきありがたいです。
ところで報道されない理由は、保守業者を擁護していると受け取られかねないからというのですが。。。。

じつはシンドラーエレベータにはブレーキライナーの摩耗が進んでも、これを検出するリミットスイッチが付いていません。ところがシンドラーが作成している英文保守マニュアルにはきちんと、図面にはそのスイッチが記載されています。こんなことってありますかねぇ。

だれでも世界第二位のシェアという部分に目がくらんでしまいますが、実態はひどいもんです。インバータの設定も、(自社製ではなく富士電機製)インバータメーカーが知ったらぞっとするような組み込み方をしています。

こういうことは実は警察へも連絡してある情報です。
結局、日本って国は裏で誰かが動くと真実なんて簡単に隠されるシャイなんでしょうね。

訂正

最終行の訂正です。
すんません!

「シャイ」→「社会」

はじめまして

■三重苦さん

>関心を持っていただきありがたいです。

このブログを始めた頃に、報道の仕方に大きな疑問と違和感、そして嫌悪感を憶えて書いたのが、このエレベータ事故でした。
マスコミは、事故に怒りを憶えていたわけでも、真相追求をしていたわけでもない、世論の見方のフリをして視聴率を稼ぐための偽善者という思いを強くもったものです。
ところで、三重苦さんは業界の方なんですか?

>こんなことってありますかねぇ。

やはりメーカー側にも瑕疵があるのでしょうか・・・?
製造ロットによって仕様変更があって、マニュアルとのズレがでたとか・・・。

数日前、遺族の方の署名提出と事故原因究明の進捗が、ごく小さく報道されていましたが、保守業者の過失はほぼ明らかだが、メーカー側に責任を問えるかどうかが焦点、ということだったと記憶しています。
他にも、エレベーターという人が乗る乗り物で、保守会社が年度によって変わるような入札制度をとった自治体側にも改善の余地はありそうな気もします。
あのマンションでは、エレベータを別のメーカーのものに変えたと思いますが、正しく保守が行われるようにならなければ、なんら解決していないと言っても過言ではないと思いますし。

どの業界でも、表だっては云えないような問題を抱えていると思いますが、事故が人命にかかわるような業界では、改善ができないことは致命的だと思います。

>真実なんて簡単に隠される・・・

何でもそうですが、流されてくる情報をなんとなく受け止めるだけでは「真実」は絶対に見えないと思っています。
受け止める側としては、常に真に受けないで留保する、必要とあらば自ら調べ考える習慣をつけないといけないでしょうね・・・。




日本のものづくりの基準からはかけ離れた製品です

港区の独自調査の中では、製品の瑕疵が見つかっています。
ところが調査結果発表でごたごたしているのが今の状況です。

大量生産の製品ではないことから、ばらつきではなく、
設計思想を問うべき問題だと考えられます。
それが事故原因とどう結びつくかは、本当であれば
事故機を撤去せず現場で時間をかけて動かしながら
調べるべきだったのですが、残念ながら日本では
事故原因を調べられる体制にはなっていません。

とはいえ、企業を攻撃することが目的ではありま
せんし、いったい何が起きたのかを少しでも調べる
ことで今後の再発防止の一助としたいというのが
現場住人達の思いでした。(私も住民です。)

報道に関してはどうしても「バランス感覚」が
働くのは自然の感情ですので理解していますが、
「シンドラーたたき」ではなく、実際に多数の不具合が
各地のシンドラー製エレベータで起きているため、
結果、報道件数が増えていました。また、そんなに
私は重視していませんが、一応事実をお伝えすると、
社長はいまだに謝罪はしていないのですよ。

謝罪よりも調査協力をしない事が問題です。
うまいの手なのですが、協力すると言いながら、
「出た結果を裁判に使わないこと」を条件として
港区に提示しているのです。

これはものづくりよりも安全確保よりも、会社の
安泰を一番に置いた考えでしょうね。
企業なんてそんなものだといわれれば、それまでですが。

私も勤め人ですから会社の仕組みはわかります。
一方的に会社が責められ、保守会社の責任を
追及していないと、たぶんご覧になって感じていらっしゃった
のだと思いますが、実際は警察は事故の翌日にはすでに
保守責任という観点からの捜査に傾いていました。
ところが住民としては長年のシンドラー社の保守時代には
数多くの不具合が起こっていて、これはもしも保守の責任
であるのなら、むしろシンドラー社は自分の首を絞めかねない
状況なのです。

とはいえ、近々、SECから逮捕者が出るでしょうね。なにせ、
肝心の港区の管理責任もあいまい中、しっかりしなくちゃ、と
自分にカツを入れなおしています。

エレベータ問題に関しては新聞や雑誌の記者には詳しい
取材をしていただいています。問題はテレビです。
なにも知らない若いお姉ちゃんをよこして、最初から
逐一話さなければならない状況が多かったです。
ニュースの現場の取材はエレベータだけではないため
忙しく、無理もないのでしょうね。
それだけに関係者はきちんとした情報を伝える努力が
必要だと、つくづく学びました。
伝えた事が今は表に出なくても、草の根で伝える努力を
することで、いつの日か役立つこともあるかもしれませんしね。

大変遅くなっての書き込みで失礼いたしました。
警察は政局がらみで発表に機会をうかがっています。
港区は警察発表の後に発表したいといっています。
こんなバカな話はあってはならないのですが、どうも
世の中の仕組みはこんなものらしいのです。
これは死亡したのが一般人だからなのでしょうかね。
それこそ皇室の方が事故れば、一発でしょう。
一般人はトラブルに巻き込まれないように、それこそ
交通法規は厳守、日常生活も法令遵守、そのうえ
気配り目配りで、町中を歩かなくてはいけません。
・・・・・と、学びました。

返信が遅くなってすみません・・・

■三重苦さんへ

三重苦さんはこの事故があったマンションの住人だったのですね・・・。

>長年のシンドラー社の保守時代には数多くの不具合が起こっていて

SEC社に保守が引き継がれる前から問題はあったということなんですね。
他にも当事者以外にはほとんど知られていない貴重なお話をありがとう御座いました。

拙blogのメインテーマは近代日本の戦争なのですが、あの戦争が語られるときに私が感じる不満は、手っ取り早く叩く相手を決めて浅い考証で責任を押しつけてそれでおしまい・・・そういう構図です。
戦争で亡くなられた方、ご遺族、被害を受けた方の思いの中には、「もう二度と戦争など起こって欲しくない。そのために何故戦争が起こったのかを明らかにして、再発防止に役立てば」というものもあると思います。
三重苦さんのおっしゃる、

>いったい何が起きたのかを少しでも調べる
>ことで今後の再発防止の一助としたいというのが
>現場住人達の思いでした

と同じではないかな、と。

話がそれましたが「世の中の仕組みはこんなもの」というのは、やむを得ないと思います。それぞれの立場、役割、主義主張が異なるものの混在を認めるのが今の社会で、それを否定して均一化しようとすれば全体主義になってしまいます。
不公平にならなければよいのですが、現実的にはなかなか難しい・・・。
事故の話がありましたが、漁船同士の衝突より、漁船と自衛艦との衝突があれだけニュースになるのも、政治的な思惑がからむからでしょう。

>交通法規は厳守、日常生活も法令遵守・・・

それをしていても事故に巻き込まれるときはありますから、やはり自分のみを守る目配り気配りは私もしています。いくら、車が悪いといっても、事故で痛い目に遭うのは自分ですし、命を落とせば何も言えません。
交差点の事故ではじき飛ばされた車が信号待ちをしていた歩行者を巻き込む事故がありますが、そう言う事故を知ったらそれを教訓にして、信号待ちの時は車道の際で待つのではなく、車道から離れて待つというのもひとつの自己防衛術だと思います。

法や規制は、某かの事件・事故があってから整備されるものです。そこには必ず最初の犠牲者がいますから・・・。

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURL:
http://jseagull.blog69.fc2.com/tb.php/525-78205c1a

FC2Ad

相続 会社設立

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。