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「あれはプロパガンダだ」というのもプロパガンダか   

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3月から公開される映画「明日への遺言」について、産経新聞論説委員の石川水穂氏が『無差別爆撃の非道さを問う』 という記事を書いています。

映画については賞賛していますが、ただ「米国の反日宣伝写真が挿入されていた」のが残念だったと書いています。それは右の写真(クリックで拡大)のことを言っているのでしょう。石川水穂氏は、

「この写真は反日宣伝のための創作だったことが、自由主義史観研究会などの調査で明らかになっている」

としていますが、これは創作などではなく、現実を撮影したものに過ぎません。

詳しいことは、下記ブログを参照していただければと思いますが、東大法学部卒で新聞社の論説委員にまでなった石川水穂氏がいまだにこういうことを書くのは、プロパガンダとは言わないのでしょうか?


70年前の旧いデマを盲信する、ベテラン論説委員の石川水穂さん(「安禅不必須山水」さん)
1937年8月28日上海南駅赤ん坊救出劇の時系列写真(「安禅不必須山水」さん)
産経「正論」でおなじみ石川水穂というアホ論説委員(「美しい壺日記」さん)

この写真が創作などではないことはほとんど確定だと思いますが、石川氏はそのことをご存じないのか?それとも知っているのにあえてそのことに触れずにこの記事を書いたのか・・・。

2008/02/25追記
石川氏にも論拠があるようですので、追記しました → こちら
「これは創作などではなく、現実を撮影したものに過ぎません」と書きましたが、ひとまず撤回します。


■都合の悪いことは隠して主張?

このような事例は「捏造されたことが史実としてまかり通ってしまっている」と主張する人達によく見られるような気がします。ひとつ例をあげてみたいと思います。

「対支那軍戦闘法ノ研究」という陸軍歩兵学校の文書(1933/1)があるそうなのですが、これはネットではだいたい次の箇所が引用紹介されています。

捕虜は他列国人に対する如く必ずしも之れを後送監禁して戦局を待つを要せず、特別の場合の外之れを現地又は他の地方に移し釈放して可なり
支那人は戸籍法完全ならざるのみならず特に兵員は浮浪者多く其存在を確認せられあるもの少きを以て仮りに之を殺害又は他の地方に放つも世間的に問題となること無し

南京事件FAQより)


つまり、「中国人は戸籍も適当で浮浪者が多いから、殺害したりしても問題にならないだろう」という文言です。
しかし、南京虐殺否定派代表格のサイト「南京大虐殺はウソだ!」は、この文書を次のように紹介しています。

陸軍歩兵学校の「対支那軍戦闘法ノ研究」(1933年1月)の中の「捕虜ノ処置」について、藤原彰氏は前掲の『南京大虐殺』の中で、この研究は「ロシア兵やドイツ兵と違って中国兵の場合は殺してもかまわないという研究」(28~9ページ)と決めつけているが、原文は次の通り。

捕虜は他列国人に対する如く必ずしも之を後送監禁して戦局を待つを要せず、特別の場合の外之れを現地又は地方に移送し釈放して可なり。」

どこにも殺してかまわないなどとは言っていないのである。

「南京大虐殺はウソだ!」-事実無根の捕虜、大量殺害説 より)


最初に紹介した青色の文字の部分は同じですが、赤文字の部分を丸ごと省略した上で「どこにも殺してかまわないなどとは言っていないのである」とは、ずいぶん虫のいい主張としか思えないのですが。

あるいは赤文字の部分は肯定派によってつけ加えられたという可能性もゼロではないのでw、「対支那軍戦闘法ノ研究」の原本を確認したいところなのですが、 残念ながらオンラインで閲覧できるところは今のところ無いようです。

いずれにしても、対立する片方の説だけを見てそれを盲信することは危険だといえる事例と言って良いと思います。


■フェアなフリをして誘導?
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私が南京事件について一番最初に手にした本は、北村稔氏の『「南京事件」の探究 その実像をもとめて』という本でし た。だいぶ前になりますが、ジャーナリストの櫻井よしこ氏がブログでこの本について

「北村氏はできうる限り、イデオロギーを排除して客観的事実を掘り起こすことで南京事件を見詰めようとした。」

(「南京事件に関する新事実 まさに歴史を見直すべき時」2001/11/26 櫻井よしこブログより)

と紹介していたからです。

たしかに、著者の北村氏は「歴史研究の基本に立ち戻るしかない(P.21)」とし、あちこちで、フェアであろうとするポーズは見られます。
しかし読み進めていくと、「筆者の常識に基づけば、これは日本人の思いつく行為ではない(P.130)」など、根拠のない思いこみによる、学者らしからぬ結論を出している部分が目につきます。しかも他の文書について「思いこみが導いた意訳と誤訳」があると批判しているのに、です。

この本は、明らかに「大虐殺があったという認識がどのような経緯で出現したか」という視点で書かれていて、事件当時の事実関係を探究するものではありませんでした。

読み終わった私の感想は、「櫻井さん、話が違うんですけど!」

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■さまざまな説を目にしないと見えてこない

逆のケースもあります。

従軍慰安婦問題で話題になることのおおい吉見義明氏の「従軍慰安婦」ですが、私はこの本については、多くの文献・文書を参考にしており、比較的客観的に書かれた本という評価を(いまのところ)しています。

ただし、吉見氏の説をそのまま鵜呑みにするわけにはいかない部分もありました。

例えば、慰安婦の戦後を描いた章「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」には次のようにあります。

 

元慰安婦の精神的外傷も大きかった。日本人元慰安婦の菊丸は1972年4月26日、千葉県市川市のアパートでガス自殺をした。(P.215)


しかし、元慰安婦の菊丸さん(本名は山内)に何度も会って彼女の一代記を記した広田和子氏の著書「証言記録・従軍慰安婦・看護婦」によれば、自殺の原因は男に騙されたことによる経済苦です。
従軍慰安婦・看護婦
広田氏の著書を読む限り、菊丸さんが自殺するほど慰安婦であったことを思い悩んでいた形跡は見られません。むしろ懐かしんでいるくらいです。菊丸さんの遺書には、かつて慰安婦として働いていたトラック島の海に自分の「遺灰を少々まいて下さい」とさえあります。(P.13)

元慰安婦の方で戦後悩み続けたり自殺した方がいたことも事実だと思いますが、それを説明する事例としては適切さを欠いていると思いました。

(注:菊丸さんは、あくまでも数多くいた従軍慰安婦のうちの一人の例です)


長々と書いてしまいましたが、史実を知ろうと思ったら、さまざまな説に目を通す必要があるということを、強調しておきたいと思います。

自分の願望や思いこみに近い説だけは盲信して、反対説は理解しようともせずに「捏造だ」「プロパガンダだ」とあっさりと切り捨ててしまうのは、「確証バイアス」なんですよ。

「戦後サヨクに洗脳されていたけど、ネットで歴史の真実を知った」などと思いこんでいる人には特に考え直して欲しいと思っています。

同様に、アンチ右派の人たちが、一部の事例かもしれない話を安易に一般化して(「性奴隷」という言葉とか)戦前戦中の日本をこき下ろす姿勢にも、偽善性を感じます。


結局は自分で調べて自分で考えていくしかない、そう思います。

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コメント

個人的体験(国に騙された事例)

こんにちは、たびたび登場の傍観者Aでございます。

私の出身地は愛知県岡崎市というところの、それも東のはずれの方で、市街地の連中からは、市の中心から10km以上離れていたこともあって「岡崎の辺境」などと揶揄されていたところでした。

そんな場所であっても、わが幼少時には戦争経験者が多く存在し、その体験談などを聞いたものです。

そうした話の中で「米英は豊かな暮らしをしていて、それに対して貧しくても耐えられる我ら日本人と戦争すれば、財政が傾いて暮らしが悪くなるのが嫌になって先に降伏を申し出てくる」
「米兵は自動車にばかり頼って(大戦当時でも、米国の自動車普及率が高いことは日本でも知られていたようです)足腰が弱いから、日本兵には勝てない」
などと軍派遣の士官による軍事教練で散々叩き込まれて信じていて、敗戦とその後の占領によりそれらが全部ウソだった、国に騙された、と語っていた人も少なからず居たことを思い出します。

日本の韓国併合時、ネットでは「併合時は朝鮮人は喜んでいた。良いことをした」などありますが、これもどうかな?義兵がゲリラ戦を繰り広げ日本軍は義兵の味方を村民がやっていると思い村を焼き尽くしたなんて描写が当時の欧米記者が書いた「朝鮮の悲劇」に書いてある。19世紀末は非戦闘員を巻き込む新たな戦争の時代に突入し、日本もその例外ではなかったというがほんとじゃないですかね。もちろん、「学校を作った。農業改革を行い生産性が向上した。」これも事実。最近はどっちもどっちで、両者の議論(良かった、悪かった)が沸騰できる良い国だな~と思っています。
追記:ブログにある写真、あれはでもよろしくないですね。被害を受けた赤ん坊であることは間違いないですが、大人がつれてきて線路上におくところ、やっぱり写真としてはやらせだと思います。

■傍観者Aさん

当時としては、英米を見くびっていたのも、国民を騙すと言うよりは誰もが本気で信じていたのかもしれませんね。「豊かな暮らしをしているから国家総力戦に耐えられない」というのは割と説得力がありますし(笑)

ただ、そういう日本の「思いこみ」が間違いの元では?と思うことはよくあります。中国に対しても、それまで以上にナショナリズムが燃えさかっていたのに、それまでと同じように簡単に日本の軍事力の前に屈服するだろうという思いこみとか、・・・

実際にはアメリカは潜水艦の中にもアイスクリーム製造器などを持ち込んで、戦場の中にもくつろげる工夫をこらしていた・・・。

蒋介石の「日本は国際情勢に疎い」という分析は当たっていたとつくづく思います。


■fuyunekoさん

>日本の韓国併合時、ネットでは・・・

日本人が「良いことをしてやったのに恩知らず」みたいな言い方をするのをネットなどでよく見かけますが、恩着せがましくてイヤですねw
併合前の「独立させてやった」などというのも、当時の「主権線・利益線」の考え方をおさえずして言えることではないと思います。
結局、反中・反韓を異常なほど煽っている人達も、「日本はなにも悪いことをしていない」という主張に根拠を与えようとして、必要以上に貶めているだけだろうと思っています。

>大人がつれてきて線路上におくところ・・・

線路上ではなくてプラットフォームですよ。その直後にはもう一人幼児を(救出して)連れてきていますし、線路上には爆死体もそのままですから、爆撃後、まもなく撮られた写真であって、演出の意図はないと表います。

本文中にもリンクしていますが、「安禅不必須山水」さんのところはご覧になりました?

http://ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/481131
http://ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/483278/


実はうちにある第二次世界大戦関連のDVDに上記写真に関する動画があるのです。写真じゃなく動画です。男が子供を連れてきてプラットフォーム(失礼)に子供を置くシーンが。有名な写真なだけでに初めて見たときにはビックリしました。ご紹介していただいたURLに関することは今回初めて知りました。ということで、ますます混乱しています。


・大月書店などは日本の問題点のみを掘り起こす。
・展転社などは日本の良い点のみを掘り起こす。
・上記のことは筆者によっても同じ傾向がある。例:藤岡氏→良いことばかり 故藤原氏→悪いことばかり

近現代史を掘り下げるようになってからは、「●●氏が書いているから~。●●出版だから~」と右派、左派というのがわかっているので、ある程度は客観的に読めるようになってきているかとは思っているのですが、それを知らないととんでもない誤解を生じてしまいます。どっかに「科学的に」公平に見ることができる歴史家はいないのですかね?また、ネットのブログで紹介されているような話を歴史で飯を食っている人が知らないわけないと思うのですが。。。やはり文系の世界は不思議だ。。。

■fuyunekoさん

>うちにある第二次世界大戦関連のDVDに・・・

私が持っているDVDにもあります。最初に見たときはいわゆる「メイキング映像」かと(笑) しかも、第一次上海事変の解説の中に・・・ちがうだろ~w
「美しい壺日記」さんのところで紹介してきましたが、「battle of china」という映画の中で使われたシーンですよね?

http://youtube.com/watch?v=uEeQV4UDEJo
この動画(↑)の20~24秒あたり。

出版社や著者による傾向は私も意識しますが、人類の進歩発展するためには、真摯に「悪いこと」に目を向けて反省・改善するのは必要だと思うんですよね。
だから悪いこと、反省すべきことをあきらかにしていくことは有意義だと思います。悪いことを隠すのは「臭いものに蓋」ってことですし。
ただ、その「悪いこと」をもって、当時を罵倒したりけなしたりするのはあまり有意義とは思えず、反発を招きますしね。当事者だった方にとってはやむを得ないと思いますが、後世の人間が歴史を鑑とするときには冷静さが必要だと思います。

>どっかに「科学的に」公平に見ることができる歴史家はいないのですかね?

「何を目的に研究しているか」にもよりますよね。戦争犯罪がテーマの研究者なら、「悪いこと」ばかりになってしまうのも必然ですし。。
(いうまでもなくプロパガンダ目的の歴史研究は除外)
「公平」というのは難しいですが、要は「批判」や「賛美」、そして「政治的意図」が目的ではなく、史実を明らかにする努力をされている研究者ってことでいいのでは?

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