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お互いに見下していた日米に対し、中国(蒋介石)の場合は・・・   

前回前々回のエントリーで書いたように、日本もアメリカも、お互いに相手をよく知らないまま開戦してしまったと言えそうですね。

それに対し、中国の蒋介石は、意外にも日本についての分析をきちんと行っていたようです。

別に蒋介石を持ち上げるような意図は全くありませんが(笑)※1、日本をどのように見ていたのか、という点では、大変に興味深い話がありますので、引用して御紹介しようと思います。


日中戦争 殲滅戦から消耗戦へ (講談社現代新書) 小林英夫著『日中戦争 殲滅戦から消耗戦へ』 の中に、蒋介石の日本人観・中国人観について解説された箇所があります。少々長く引用します。







P.64~

三八年(1938年)一月十一日の「抗戦検討與必勝要約(抗日戦の検討と必勝の要諦)」(『蒋中正先生対日言論選集』)で、彼は日本人と中国人の長所・弱点を比較して次のように述べている。

■日本側の長所

・小ざがしいことをしない

・研究心を絶やさない

・命令を徹底的に実施する

・連絡を密にした共同作業が得意である

・忍耐強い

■日本側の短所

・国際情勢に疎い

・持久戦で経済破綻を生ずる

・なぜ中国と戦わねばならぬかが理解できていない

■中国側の長所

・国土が広く人口が巨大である

・国際情勢に強い

・持久戦で戦う条件を持っている

■中国側の短所

・研究不足

・攻撃精神の欠如

・共同作戦の稚拙

・軍民のつながりの欠如

 

蒋介石は、日本軍が規律を守ることに優れ、研究心が旺盛で、命令完遂能力が高いという長所をもつ反面、視野が狭く、国際情勢に疎く、長期持久戦には弱いという弱点を持っていることを指摘している。

一方の中国軍は、広い視野と長期的展望を持って持久戦を戦うことには優れているが、戦闘心は旺盛でなく、研究心が足りないとしている。

そして、日本軍の長所は兵士や下士官クラスにおいて発揮されやすいものであり、彼らはよく訓練されて優秀だが、士官以上の将校レベルになると、逆に視野の狭さや国際情勢の疎さといった短所が目立って稚拙な作戦を立案しがちであることを喝破していた。こうした日本軍の性質は、局面が単純な短期決戦向きといえるだろう。

一方で、中国軍は対照的に指揮官レベルの人間は国際経験も豊かで視野も広いが、兵や下士官は資質が低く、訓練が行き届いていないことも承知していた。これは中国軍にとっては戦局が長期化、複雑化するほど有利であるということにほかならない。

戦争に勝利するためには、敵の長所を殺し、味方の長所を生かさなくてはならない。そうしたことまでも見越した上で、彼は日本軍を消耗戦に引きずり込む戦略を打ち立てたのであった


私はこの本をつい最近読んだのですが、蒋介石がこんな認識を持っていたことをはじめて知り、正直なところ驚きました。と同時に、蒋介石による日本人・中国人の分析は、かなり的確だった、という印象を受けました。

なぜ彼はこういう分析ができたか・・・・・蒋介石は、1908年に日本に清朝留学生として来日、振武学校※2に入学した経歴を持っています。

三年間の学業生活を過ごしたあと、士官候補生として、新潟県高田市の第十三師団野砲兵第十九連隊に二等兵として実習入隊しているんですね。そこで約2年間、大日本帝国陸軍の中で日本式の軍隊生活を送っているわけです。

そこで蒋介石は中国と日本の違いについて驚嘆するとともに、日本軍の強さと弱点を目の当たりにしていたのでしょう・・・。

-------------------

孫子の兵法に、「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず」という、有名な一節があります。

現代ではスポーツなどを語るときに使われることが多いようですが、もともとは戦争に勝つための兵法ですからね。 蒋介石はこれを実践していたといえるのかもしれません。。。。
(孫子の兵法を意識していたかどうかはわかりませんが)

強国を味方に付けるためのプロパガンダ※3など、蒋介石は祖国の危機に当たって、政治・軍事両面でしっかりとした作戦を立てていたようにも思えます。 (まだまだ勉強不足ですが、いまのところ、私はそんな印象を持っています。 )

さすがに長い戦乱の歴史を持つ中国、といわざるを得ないのかも・・・


なお、今回引用した小林英夫著『日中戦争 殲滅戦から消耗戦へ』という本は、日中戦争にたいする著者独自の分析と、現時点ではおそらくこの本にしか掲載されていない貴重な資料な資料『検閲月報』について書かれています。
非常に興味深い本でしたので、いずれ書評を書いてみようと思っています。(いつになるかはわかりませんw)


※1 こうやって念押ししておかないと、「工作員、乙」とかいうコメントが来そうだしw
※2 軍人を志す中国人留学生を対象とする予備教育機関。
※3 中国は強国米英を味方に付けるためのプロパガンダ(宣伝工作)は、たしかに計画的に行っていたようです。


■関連過去エントリー

戦前のアメリカ人が持っていた日本人観(2008/01/15)
戦前の日本人が持っていたアメリカ人観:(2008/01/16)


■参考書籍

日中戦争 殲滅戦から消耗戦へ (講談社現代新書)
日中戦争 殲滅戦から消耗戦へ (講談社現代新書) 小林 英夫

おすすめ平均
stars戦時中も現代も見た目は変わっても中身は変わっていないと思い知らされる。
starsわかりにくい日中戦争を理解するためのひとつの見方を提供
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コメント

「事件は会議室で起きてるんじゃない。現場で起きてるんだ」とはドラマの名台詞ですが、この言葉は日本人の特性を如実に表していると思います。いわゆる現場主義ですね。

現場の人間が強くて優秀なだけに、トップがそうそう間違いを犯しても現場の力で何とか吸収してしまう。短期的にはそれで解決するのですが、実は根本的な方向性が間違っているので、長期的に見るとあさっての方向に到達してしまう。

現場の人間は現場に立ち向かうことしかできないので視野狭窄になるのは当然。だからトップがしっかりとしたマネジメントをしないといけないのですが、トップ層までが現場の「空気」に引きずられて判断を誤ってしまう。

こういうことは、戦前の政府・軍部だけでなく、現代の日本の組織でも往々にして見られることではないでしょうか。

トップに立つ者は「調整型」よりも或る程度は「独裁型」である必要がありますが、日本の歴史を振り返っても、そのようなトップは織田信長か小泉純一郎くらいしかいないように思います。

■かせっち さん

>こういうことは、戦前の政府・軍部だけでなく、現代の日本の組織でも往々にして見られることではないでしょうか。

それは全く同感です。日本近代史関係の本を読んでいて、今も変わっていない、と感じることはしょっちゅうありますね。
これは日本だけに見られることなのかどうかという点も気になりますが。

過去のことについては、我々は結果を知っているので、どこに問題があったか冷静に分析できるという特権があり、それを以て過去を非難・糾弾することは狡い気もしますが、その反省を今後に生かすことは出来ると思うんですよね。それが歴史を知ることの大切さだと思っています。

>トップに立つ者は「調整型」よりも或る程度は「独裁型」・・・

昨日仰っていた企業経営者やスポーツの監督などを思い浮かべるとわかりやすいですね。リーダーには確かにそう言う素質が必要な場面があると感じることがあります。
ただ、それゆえに並はずれた優秀性も必要なんでしょうけどね。

ひさしぶりにコメントします。
生前辛口の論評で鳴らした、京大名誉?教授会田雄二氏がこんなことを書いていたと記憶します。
中国の政治家は、孫子・韓非子などの古典を暗記するほど読み込み、それを巧拙はあれ実行している。また欧米の政治家でマキャベリを知悉していないひとはまずいないと...
ひるがえって我国ではどうかと考えさせられます。

ノモンハンのジューコフ元帥の日本軍評

こんにちは、お久しぶりの傍観者Aにございます。以前は私の投稿で、不快な思いをさせてしまったことを、まずはお詫び申し上げます。

>そして、日本軍の長所は兵士や下士官クラスにおいて発揮されやすいものであり、彼らはよく訓練されて優秀だが、士官以上の将校レベルになると、逆に視野の狭さや国際情勢の疎さといった短所が目立って稚拙な作戦を立案しがちであることを喝破していた。こうした日本軍の性質は、局面が単純な短期決戦向きといえるだろう。

これについては、ノモンハン戦にて日本軍側を撃破し、ドイツとの戦闘では大胆さと緻密さを兼ね備えた用兵でソ連軍を勝利に導いたことで知られるゲオルギー=コンスタンチノヴィチ=ジューコフ(元帥、後に国防相)の名言もありますね(半藤一利氏の「ノモンハンの夏」でも引用されてますが)。

「日本の下士官、兵は頑強で勇敢であり、青年将校は狂信的な頑強さで戦うが、高級将校は無能である」

蒋介石が日本を上記のように分析していたという認識があったことはどこで仕入れたか忘れましたが、知っています。
・彼は日本軍を消耗戦に引きずり込む戦略を打ち立てたのであった
戦略しては正しかった、だから抗日戦争には勝ったと言えますが、やはり民間人を犠牲の上に成り立つ戦略なので、最終的には大陸を追い出されることになったとは言えないですかね?日本降伏後の大陸内内戦についてはまだ良く調べてないのでわかりませんが。。。この時代に軍の暴走を止められる「国士」がいたら、日本の大陸権益も香港と同じようになっていたのではないでしょうか?確か返還が1997年だったはず。。。

返信が遅くなってすみません・・・

■いわおさん

お久しぶりです。再度コメントいただきありがとうございます。

>中国の政治家は、孫子・韓非子などの古典を暗記するほど読み込み

そうでしたか。会田教授が指摘している「中国の政治家」がいつの時代のことを言っているのか定かではありませんが、ここ数年の中国を眺めてみても、試行錯誤しつつも国際対応を意識したような路線修正が行われているようにも見えますね。

>ひるがえって我国ではどうかと考えさせられます。

同感です。歴史を勉強すればするほど鑑とすべき教訓が沢山あることに気づかされますが、それを知っているかどうかで政治家の素質さえ問えるようにも感じます。


■傍観者Aさん

お久しぶりです。
「不快な思い」ってなんてあったっけ?と思って過去のコメントを探してみて、「あーそんなこともあったっけ」と思い出しました(笑)
まぁ、忘れていたくらいだから全く気にしておりませんので、懲りずにまたいらして下さい。傍観者Aさんは戦史にも詳しそうとお見受けしますので、色々教えて下さいませ。

ソ連の誰かが日本軍についてそのような評価をしていた話はどこかで見たことがありましたが、ノモンハンの時でしたか。
ノモンハン事件についてはあまり詳しくありませんが、私がまっ先に頭に浮かぶのは辻政信参謀です。ジューコフに批判されている高級将校というのもこのあたりでしょうか。


■fuyunekoさん

>最終的には大陸を追い出されることになったとは言えないですかね?

それはあり得るかもしれませんね。私も蒋介石に対する当時の中国人の評価はわからないので判断は保留しますが。。。

>確か返還が1997年だったはず。

そこまで延長を要求して中国側が呑んでしまった時点で、中国人のナショナリズムに日本が火をつけてしまったようです。(国恥記念日として記憶されていると言いますし)

でも満州国成立後であっても、北支文治政策がなければ、あそこまで反日にはならなかった可能性はありますし、当時の中国ナショナリズムの業火に手を焼いていたのは日本だけではなかったようですから。

とはいっても、元々は治外法権や不平等条約、国土が失われる危機感からくるものだったようですから、江戸末期から明治にかけて同じ苦汁をなめた日本が理解できなかったことは残念な気もします。

・・・っと話が逸れてしまった(^_^;

いわおです。 ご返事のコメント有難うございます。

故会田雄二氏の論評は、書棚のどの本にあったのか、ちょっと思い
出せないのですが、執筆時現在の内外の政治家を念頭に書かれて
いました。
 一言追加いたします。

■いわおさん

補足コメントありがとうございます。

話は変わりますが、ゴーストップ事件など、昭和初期の国内のことなども書いてみたいと思っていますので、よろしければ、戦時中のことをまたいろいろご教示いただけますと幸いです。

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