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戦前の日本人が持っていたアメリカ人観   

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先日のエントリー「戦前のアメリカ人が持っていた日本人観」では、いかに日本人が見下されていたかを紹介しましたが、当時の日本人のアメリカ蔑視だって負けてはいません(?) 

『[真珠湾]の日』では、日本人はアメリカ人についてどのように見ていたかも紹介していますので、引用しておきたいと思います。





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ひとつめは、日米開戦を前に兵士に配られたというマニュアル本『これだけ読めば戦は勝てる』の中に書かれていたという文章です。

なんだか現代に氾濫するマニュアル本のような軽い(?)タイトルですが、中身は精神論や、何のために戦争をするのか、南方地域はどんなところか、などが書かれていたようです。

(右写真は、「ガダルカナル 学ばざる軍隊」から転載)

今度の敵は支那軍と比べると、将校は西洋人で下士官は大部分土人であるから、軍隊の上下の精神的団結は全く零だ。

・・・・戦は勝ちだ、対手は支那兵以下の弱虫で、戦車も飛行機もがたがたの寄せ集めである、勝つに決まっているが、唯如何にしてじょうずに勝つかの問題だけだ。
(P.453)
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この冊子は、第二十五軍作戦主任参謀辻政信中佐と作戦参謀朝枝繁春少佐の合作だそうです。 

辻政信といえば、昭和の戦争の様々な重要な作戦・事件で登場するキーマンの一人ですが、彼らしい見方といえば言えそうな気がします。 

この冊子については、「ガダルカナル 学ばざる軍隊」という本でも紹介されていたので、 追加で下記に引用しておきます。

少数の勇敢なものが夜を利用して深く敵の中に入り込む等、敵を呑んでかかる気持ちが大切である

(P.62)

ほかには、昭和17年3月 の大本営政府連絡会議でまとめられた「世界情勢判断」の中の「米英の戦争遂行能力の総合的観察」という文書も紹介されていました。その中には次のようにあります。

  • 米の人的戦力は物的戦力に伴わざるべし。

  • 物的戦力膨大なるも、米の政治経済機構は、今なお国家総力戦に必要なる臨戦態勢を整備しておらず、之が確立には今後幾多の摩擦紛糾を生ずべし。

  • 米英国民は生活程度高く、之が低下はそのすこぶる苦痛とするところにして、戦捷の希望なき戦争継続は社会不安を醸成す。一般に士気の衰退を招来すべし
(P.453~)

※この文書はアジア歴史資料センター レファレンスコード:B02032972200で見ることができます。

アメリカもずいぶんなめられたものです。

著者の半藤一利氏は、この文書について、

「日本のトップのアメリカ観ともいえるものである。相当に情けない判断である。」

「物量豊富なれど闘志にみるべきものはない。民主主義の政治機構は国家総力戦には向かないなどなど、希望的観測が開戦決意の裏側にあったことを忘れるわけにはゆかない」

としていました。

これは、日本が「アメリカ人を見下していた」というよりも、「民主主義を見下していた」ともいえそうです。
民主主義のアメリカ人は、金儲けと遊びしか頭にない堕落した連中と、思いこんでいたようなんですね。

ほかの本からも引用してみます。

アメリカ人のような贅沢に慣れた国民が、潜水艦のような狭くてつらい環境に我慢できるはずがないと思っていました。

日本の潜水艦は猛訓練で有名でしたし、アメリカ潜水艦よりもはるかに優秀だと信じていました。
(「日米開戦 勝算なし」P.41)

その民主主義のアメリカ人を、真珠湾攻撃の直後から入隊志願が殺到したというほどに怒らせてしまったのが、日本だったというのも皮肉な感じがします。

また、日本のトップが民主主義を見下していたというのは、松岡洋右が外相に就任した1940年7月にニューヨーク・タイムズの記者に語ったという次の台詞にも明確に見てとれます。
民主主義と全体主義との間の戦いにおいては、後者が勝って世界を支配するだろうことは疑いない、民主主義の時期は終了し民主主義体制は破産した。

世界に二個の相異なる体制もしくは経済が存する余地はなく、一は他に譲らねばならぬ」


(「日中戦争がよくわかる本」P.68 
原典は太平洋戦争原因研究部篇「太平洋戦争への道 開戦外交史7 日米開戦」)

今の保守系の人でさえもあまり気にしていないように感じるのですが、当時はトップからして日本は「全体主義国家」であると明確に意識していようです。
そして、「民主主義」を見下し、やがてその時代は終わるであろうと・・・。

他にも私が今まで読んだ本の中には、日本がいかにアメリカを知らずに見下していたかという話がたくさんあるのですが、長くなるのでこの辺で。。。

■関連エントリー

戦前のアメリカ人が持っていた日本人観
お互いに見下していた日米に対し、中国(蒋介石)の場合は・・・

■参考書籍
“真珠湾”の日 (文春文庫)
“真珠湾”の日 (文春文庫) 半藤 一利

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stars正に失敗に学ばぬ軍隊。
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stars憂鬱になりますね。
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コメント

外交という観点から見た開戦への道もいろいろ考えさせられますが、その外交を動かした影の力にこんな人種差別もあったんでしょうね。結局、「出来事をどう解釈するか?」もうここまで来ると答えはないような気がしてきました。理系の私としてはどうもすっきりしません。

まぁ、「民主主義より全体主義が勝る」というのはあるレベルにおいては真理で、例えば企業なんかは或る意味一君万民、上意下達、非民主的組織なわけです。というか民主的な企業が生き残る例は稀でしょう。社員皆の意見をチンタラ聞くよりも、社長の号令でエイヤと動いた会社の方が急成長するものです。

でも同時に、このような非民主的組織で上手く回るのは最大でも企業くらいでしかなく、参加するプレーヤーが膨大で、かつ個々のプレーヤーが目指すものが異なる国家を運営する場合には、全体主義では早晩破綻を来たし、最終的には民主主義に選ばざるを得ないのではないか、と思います。

こういう話はフランシス・フクヤマの『歴史の終わり』の一つの主題であったりもします。

映画トラトラトラを見ると山本五十六が
日本人のアメリカについての認識は間違っている。
と強く説明シーンがありますがこのシーンはとても印象的です。
当時の日本人はアメリカについてこう考えてたんだと
いうことが短いセリフですがよくわかるシーンでした。
トラトラトラはただの映画ですが実際もやはり
そうだったんですね。

私は理系の人にはがんばってもらいたいと考えてます。
科学的思考力というものがいかに大事かということなんですが。

■fuyunekoさん

>外交を動かした影の力にこんな人種差別もあった・・・

対米開戦だけでなく、明治維新後の日本の海外軍事行動ではどこでも見られるようです。公文書でも明治から1945まで、「土民」という言葉がとても目につきます。沖縄の人に対しても「土民」といっていましたし・・・。

>理系の私としてはどうもすっきりしません。

その気持ち、よーく判ります^^

かつて他の方が「解決しない状態や、わからないという状態に、慣れた方が良い」とコメントしてくれました。
歴史ってそんなものかなぁと思うようになったら、何が「良い」とか「悪い」とか云う判断を下しがちだった頃と比べて、随分冷静に考えられるようになった気がしますよ。でも、それゆえ、よけいに歴史にハマってしまいましたがw。


■かせっちさん

おひさしぶりです。いつもながら、かせっちさんらしいコメント、ありがとうございます^^
大正デモクラシーという時代もありましたが、日本は一度それを否定しましたし、民主主義がベストかどうかも、誰にも分からない気はしますね。
ただ、戦後は民主主義国家同士の戦争がほとんど起こっていないことから見ても、国際間の平和維持には有効なのかもしれません。


■FXさん

松下芳男という元軍人の方が、陸軍幼年学校出身者が軍の養殖を占めたことが米英軽視の風潮につながったと指摘しているようです。
幼年学校では独仏露の語学を教え、留学先もそのいずれかが多かったため、海外事情の知識に偏向があった、と。
海軍の山本五十六は、ハーバード大学留学、駐米武官の経験があってアメリカ事情に通じていましたから、日本人のアメリカ観の欠点をよくわかったのでしょうね。

>科学的思考力というものがいかに大事かということなんですが。

史実へのアプローチは科学的であるべきでしょうね。

本来の「歴史学者」が書いた本と、思想家、ジャーナリスト、漫画家(笑)が書いた本では、内容の信憑性に雲泥の差があると感じています。
後者の方は、一言でいうと、科学的ではない、と感じるのです。

そういう意味でも、「歴史は科学ではなく物語」と主張し、それを子供達に教えようとする自由主義史観派(教科書をつくる会や改善する会)には違和感を感じます。(以前は私も共感していましたがorz)

都合のいい部分だけをつなぎ合わせれば、いくらでも自分たちの政治的主張に合わせた歴史物語を作れてしまいますから。

あと、自分の体験的に言えることなのですが、人を感動させる物語というものは人を思考停止させる力があると思うのです。
感動してしまうと、歴史を知る上で必要(と、私が勝手に思っている)、複眼的な視点を見失うことになると思います。
「特攻隊の遺書」でそれを特に強く感じました。

なみに私はSEという理系的な仕事をしていますが、頭の中は文系ですw


「歴史」と「歴史観」は違う、というべきでしょうかね。

「歴史」は史実の積み上げで客観的にできるけど、「歴史観」はその人の主観に依存してしまうもの。それは思想家、ジャーナリスト、漫画家は言うに及ばず、歴史学者においても程度が甚だしくないだけで、主観からは逃れられないものです。

思想信条の自由があり、言論の自由がある限り、史実を前にして自分の歴史観を披瀝するのは勝手ですが、その話を聞く側も話者の歴史観に偏りがあることを前提に考えるべきなんでしょうね。

だから私の歴史観にも偏りがあるかもしれないから、簡単に信用しないように(笑)

ちなみに最近は文化人類学系の本しか読んでませんが、本職はプログラマーの理系な人間です(笑)

■かせっちさん

>「歴史」と「歴史観」は違う、というべきでしょうかね。

私もそれは意識しています。

そして、「歴史観」は、その人が持っている知識の範囲を超えて形成されることはありえないからこそ、主観や価値観、イデオロギーの影響を大きく受けるとも言えそうです。

私は、さまざまな本を読んで新しい知識を得る度に、自分の歴史観を修正するハメになっていますw。あえて悪く云えば、歴史観ブレまくり(笑)
かせっちさんは拙ブログにコメントいただくようになってから比較的長い方なので、そのあたりはよくご存じかと(^_^;

>本職はプログラマー・・・

そうでしたか。ここにも同業(IT業界)の人が(笑)

すいません 通りすがりのものですが一言。
「土民」についてはいろいろな意見があるようですが、民俗学的に明治昭和初期の「土民・土人」には差別的意味合いはありません。
あくまでその「土地の人」という意味です。
「中国の土民と酒を飲んだ」という場合、「山口県に行き、地元の人と酒を飲んだ」という意味になります。 
現在でも土地の産物を「土産」と言いますね。

■VIPPERな名無しさん

ご指摘ありがとうございます。
確かにご指摘のようなお話は何処かで目にしたことがあります。
言葉のニュアンスも時代とともに変わりますし、言葉の上っ面だけで判断するのは早計だったかもしれませんね。

ただ、そうは言っても当時の日本は世界の中でも特別の国であり民族であるという意識があり、その裏返しで他国民、というか他民族を蔑視していたことは事実かなと思っています。


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