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[書評]「[真珠湾]の日」 半藤一利著   

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昭和16年11月20日から真珠湾攻撃の翌日12月9日までの期間を描いたノンフィクションです 。

描かれているのは日米交渉が決裂にいたる直前の外交の様子から、開戦直後までの日米、およびイギリス、ドイツ、タイなど、「真珠湾の日」の日本の行動に揺り動かされたありとあらゆる場所と人物の証言や行動です。

登場人物も数え切れないほど多く(おそらく100人くらい登場するのでは?)、日米交渉に当たっていたハル国務長官、野村・来栖両大使から、ハワイの電報配達の少年まで、当時の資料を細大漏らさず集めて、時系列に並べ同時並行的に描かれていました。

12月7日から8日かけては、1時間刻みで各現場の様子を記しているので、まるでドラマ「24 -TWENTY FOUR-」を見ているような感じです。


(・・・って、私、「24」見たことないんですが(笑)。でも解説を見ると、複数の出来事が1時間単位でリアルタイムで進行ってことらしいんで、似てるのかな?と(^^;)

また、政治・外交の舞台の話だけではなく、真珠湾攻撃の報道に触れた当時の作家の感想や街の様子など一般人の受け止め方も描かれています。
(開戦への賛否両方とも)

文庫本で約500ページという分厚い本ですが、それだけに内容が豊富で日米開戦の様子を知るには十分すぎるほどの内容かと思います。また、これを書くには膨大な資料と知識を時系列に整理するだけでも大変な労力が必要だったでしょうし、作者の意気込みも感じられました。

なんでも、1945年8月15日の終戦の日を描いた「日本の一番長い日」(1965)を上梓した後、夢枕に白い服を着た人影が立って、「敗戦の日を書いたのなら、あの無念の24時間のことも書いてはもらえんか」と言ったのがきっかけだったとか。
あれはきっと著者が卒業した中学校の先輩でもある山本五十六だろうと、いうことにして、その夢から36年を経てやっと書き上げたのだとか。

「読者に笑われるのを承知で」と半藤一利氏はこの話をあとがきに載せていましたが、本文にはそのような俗っぽい話はまったく感じられず、緻密な考証の結果が随所に見て取れます。

また、攻撃成功の報に触れ沸き上がる者達をよそに、真珠湾攻撃立案者にもかかわらず、終始沈思黙考し、開戦通告が間に合ったかどうかをしつこいほどに確認し続ける山本五十六の様子は印象的でした。

また、ルーズベルトの陰謀論に対しては、陰謀論のはいる隙を指摘しつつ、反証事例や考察も記載しているので、冷静にあの時何があったのかを知りたい人には、お薦めしたい本です。

ルーズベルトの怒りと落ち込みぶりは、彼の息子や部屋にサンドウィッチを届けた給仕の証言を元に描いていますが、まるで一日で敗戦国となってしまったかのような感じで、それだけでも真珠湾(と、その後のフィリピン航空部隊)を完膚無きまでにやられるとは夢にも思っていなかったと言えそうです。


“真珠湾”の日 (文春文庫)
“真珠湾”の日 (文春文庫) 半藤 一利

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コメント

この時期を綴った本を出した人の中では
半藤氏、大杉氏、入江氏が個人的には3巨頭です。
先駆けは須藤氏でしたが。

『真珠湾の日』で「ん?」と思った点は
半藤氏は「暫定協定案が廃棄され、突然にハルノートが
浮上するのである」という風にかかれてますが、
この二つは並行して作られていて、提示も別にどちらか一方を、
というわけではなく、両方をセットで出される予定だったのでは・・・。


>ルーズベルトの怒りと落ち込みぶり

個人的な推測ですが、オーバーに怒りを表現することで、
自分に降りかかるかもしれない、数千人を死なせてしまったという
失態の追及をかわそうとした=矛先を日本だけに向けさせたい
という要素もあったのではと思ってます。
少なくとも自分がルーズベルトの立場ならそうする。w

■クロソさん

なるほど、どうりでクロソさんは開戦経緯にお詳しいわけで。

実は私が、日米交渉~開戦までについて書かれた本を読んだのは、この本が最初です。「ハル回顧録」はだいぶ前に入手したのですが、全然知識がないときで理解できなかったので途中で読むのを止めていました^^ゞ
後日もう一度読み直そうと思っていますが。

>『真珠湾の日』で「ん?」と思った点は ・・・

自分もなんとなく、あれ?そうだったっけ?と思いました。
自分の記憶違いかもしれないと思い、ほとんど気にせずに読み進めましたがw

>オーバーに怒りを表現すること・・・

ルーズベルトのキャラが自分の中ではまだ漠然としているので(でも、どちらかというと独裁的?)、なんともいえないのですが、息子の証言にある趣味の切手収集を無表情に眺めていたというのは、さすがの大統領も現実逃避していたのかなぁと、想像しました。

次の「戦前のアメリカ人が持っていた日本人観 」
の中のルーズベルトが日本人をかなりバカにしていたという
話だけでも陰謀などありえないとわかると気がします。
アメリカ軍なら真珠湾攻撃なんて阻止できると考えますからね。
阻止してしまえば陰謀は成立しないわけです。

■FXさん

ただ、陰謀があったのでは?と思わせるような事実がいくつもあることは確かなんですよね。囮船を出していたこと、コミンテルンのハリーホワイトが関わっていたこと、「最初の一発を撃たせる」発言、等など・・・。

それでも総合的に見れば、陰謀論は開戦原因をアメリカのみに押しつけたい人達がその願望に沿ってそれらを並べただけとも思えます。
少なくとも、アメリカは真珠湾をやるとは夢にも思っていなかったとは言えるのかなと思います。

>ルーズベルトのキャラが自分の中ではまだ漠然としているので

間違いなく、永遠に「漠然としたまま」です。w
この時期のアメリカについて調べると、結局のところ、
「ルーズベルトって何者???」というところに突き当たりますので。
時期によって言ってる事や方針がコロコロ変わりますし、
しかも何も遺さないで死んでしまったので、結局のところ、
彼がどういう目的や信念で動いてたのかが永遠の謎です。
この「謎」という点が陰謀論の入る格好の隙になっていると思います。

まぁ半藤氏の「目的に沿って行動するのではなく、
起こった出来事に対して臨機応変に対応していくタイプ」という評価が
妥当なところでしょう。


>コミンテルンのハリーホワイトが関わっていたこと

ホワイトが起草した案はハルノート提示の何ヶ月も前で、
これを原案にハルノートを作成したのは紛れもなくアメリカですので、
よく言われるソ連の陰謀というのも冷静に見れば
そんな大層な物ではないと評価してます。
ホワイトの案をよくよく見れば日米の関係を
悪化させようという狙いは感じられませんし、むしろアメリカが
作成したハルノートより融和的ですしね。
(参考-ハルノートを書いた男(須藤氏)  )

■クロソさん

さすが日米開戦陰謀論をきっかけに調べつくしたクロソさん、いつも参考になるコメントありがとうございます<(_ _)>

>間違いなく、永遠に「漠然としたまま」です。

やはり、そうなりますか・・・ まぁ、変な先入観が入る余地がなくて却ってよいかもしれませんなw
同様な人物として、蒋介石も人物像がなかなか見えてきません。

>ホワイトの案をよくよく見れば日米の関係を悪化させようという狙いは感じられませんし・・・

なるほど・・・。
私も以前は、「ハルノート作成にコミンテルンの人物が関わっていた!」という事実だけで、「やっぱり第二次大戦は共産主義の陰謀だったのかっ!」なぁんて思っていましたが(未熟でしたw)、冷静に歴史を見るようになってからは、具体的にホワイトがどのように関わって影響を与えていたかを見るまで判断を保留することにしていました。
紹介していただいた「ハルノートを書いた男」をいずれ読んでみようと思います。

検索エンジンからまいりました。はじめまして。

半藤さんの本は私も好きなので、この本も長いのに苦しみながら読みました。

ホワイト財務次官について言えば、「ソ連崩壊後の記録にコミンテルンのスパイだと書いてある」とはよく聞くのですが、「記録そのもの」は見たことがないので?を持っています。また、記録にあったとしてもどのようなものなのかにもよると思います。

たとえばですが、日本の大本営の記録を調べたらミッドウェー海戦は日本の大勝利であることが判明した、と外国人の研究者に言われたら困ってしまうな・・・と思います。はたしてまともな記録なのか・・・

私は、ホワイトがケインズと一緒に戦後IMFを作ったという歴史的事実が気になります。「資本主義の守護神であるIMFを創設した共産主義者」、なんだか矛盾しているように思うんですね。

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