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メディアリテラシーの習得練習-その2   

読書の秋、というわけでもありませんが、最近の私は完全に活字中毒、本の虫でございます。近代史とメディアリテラシーが中心ですが、認知心理学や社会学の入門書にまで手を出してしまっています。一見、歴史やメディアリテラシーに関係なさそうですけど、イデオロギーにとらわれずに歴史を勉強したり、戦争体験者の証言はどう捉えるべきか、とか、マスコミの報道をどう捉えるか、を考えるのには、かな~り参考になります。

また、人が陥りやすい思考パターンなども少しわかってきて、「なんで右(左)寄りの人は、そのように考えるのか? それを信じてしまうのか?」なーんて考えてみるのも面白いですし、プロパガンダへの耐性も身につきそうな気もちょっとします。

ただ、メディアリテラシーについて言えば、本を読んで知識として持っているだけではなく、やはり自分で考える癖をつけていかないとダメみたいですね。「リテラシー」って「能力」のことですから。
私の最近のお気に入りのパオロ・マッツァリーノさんは次のように言っています。


データを鵜呑みにしないことが重要だ。メディアリテラシーを養うことが大切だ。口でいうだけなら、誰でもできます。
(中略)
彼らは、誰かが分析した結果を本で読み、知識として知っているだけなんです。もちろん、知らないより知ってるほうがマシですが、泳ぎかたを本で読んで知っていても、実際に泳げることの証明にはなりません。単に物知りであるというだけでは、なんのリテラシーでもありません。読書好きの物知りさんほど、知らず知らずに、良心的エセリテラシストになってしまうという、知の罠にはまりがちです。

良心的エセリテラシストに告ぐ」より


んー、耳が痛い(^_^;

そういうわけで、今後も時折練習がてらにメディアリテラシーについてのエントリーを書いていこうと思います。

前置きが長くなりましたが、今回の練習台はこれ↓

名古屋市民、4人に1人が「心の病」 小規模都市の5倍以上 
(中日新聞 2007/11/03)(魚拓
 
名古屋市民のおよそ四人に一人がうつ病など気分・不安障害の可能性があるという調査結果が、二日開かれた市自殺対策連絡協議会で明らかにされた。人口の少ない町や中核市などで国が実施した調査の数字の五倍以上にのぼり、大都市に住む人の心が病んでいる現状が浮き彫りとなった。 

調査は七-八月にかけ、市民から無作為抽出した1459人を対象に、調査員がアンケート用紙を配布、回収した。有効回答は989人(有効回収率68%)。

「一年以内にストレスや不安を感じたか」など精神状態を判定するテストでは24・6%が気分・不安障害相当とされた。
(中略)
厚生労働省が、人口一万-六十万人の十一市町で二〇〇二年度から四年間に行った調査では、気分・不安障害相当とされたのは4・4%にとどまり、名古屋市の数字の高さが際だつ。


この記事を普通に読んでも、「『4人に1人が心の病』って多すぎじゃない?」って感じる記事ですよね。

いろいろ疑問に思う点はあるのですが、一つのポイントは、「有効回収率68%」という点。

「4人に1人」というのは「24.6%が気分・不安障害相当」という結果を見て書いたのだと思いますが、それはこのアンケートに回答した人の中での割合であって、調査対象者全体に対する割合ではないんですね。だって32%の人はアンケートに回答していないのですから。

計算すると、気分・不安障害相当と診断された人は244人で、調査対象者全体に対する割合に直すと16.7%になります。まぁ、それでも多い気はしますが、少なくとも「4人に1人」とは言えないですね。


■有効回答率について

世論調査やアンケートでは、「どのくらいの人数に調査したのか」も気になりますが「有効回答率」や「調査の質」も重要なポイントなのだそうです。

上記の例で行けば、非回答だった38%の人の精神の健康状態はわからないわけです。

ストレスや不安がほとんどない人は、このアンケートに関心が持てなくて回答しなかった可能性がありますし、逆に回答した人は、日頃からストレスや不安を感じていたからこそ、この調査に協力したと考えることもできます。
そうだとすれば、回答者に含まれる「心の病」を持つ人の割合は、全体よりも高くなってしまうことになります。
(もちろん、他の可能性もあります。アンケートに回答する気力もないほど精神的に追い込まれた人が、回答しなかった(できなかった)とか。でも普通に考えればそれは少数派でしょう)

いずれにしても、非回答の人の精神状態は不明なわけですから、「名古屋市の4人に1人が心の病」という見出しはちょっとおかしいですね。この調査で、ストレスや不安の原因(仕事、人間関係、金銭、etc.)を分析するのは社会問題調査として有意義ですが、この記事ではその比率の多さだけに目がいってしまいがちですから。

世論調査など、全体の傾向を調べるものについては、有効回答率が100%が前提なのだそうです(理論的に)。実際には100%というのはありえませんが、それが低くなればなるほど、調査結果の信頼性は下がると言うことは覚えておいた方がよさそうです。50%以下だったら、もうその結果はかなり眉に唾をして見る必要があるとのことです。

ほぼ同時期に各メディアで行われた世論調査の結果がまちまちになるのも、この辺が関係していそうですね。「○○新聞の調査」というだけで、回答拒否する人もいるようですし(笑)

ネットでのアンケートも、テレビでリアルタイムにアンケート調査できるテレゴングなども、その問題に関心のある人が積極的に回答するわけですから、回答していない人の意見が反映されていない以上、世論調査として使うにはかなりアヤシイと言うわけです。

時々、ネットの声だけでそれが世論だと思いこんでいる人を見かけますけど、まぁ、そんなにムキにならない方がよろしいかと(笑)

●参考リンク

良心的エセリテラシストに告ぐ パオロ・マッツァリーノ
スタンダード 反社会学講座 パオロ・マッツァリーノ
book-read: 田村秀(2006)『データの罠 世論はこうしてつくられる』
アンケートの有意なサンプル数 - 教えて!goo

●参考書籍

4480687599 データはウソをつく―科学的な社会調査の方法
谷岡 一郎
筑摩書房 2007-05

by G-Tools
4480423567 反社会学講座 (ちくま文庫 ま 33-1)
パオロ・マッツァリーノ
筑摩書房 2007-07

by G-Tools
4756119867 眠れぬ夜のグーゴル
A・K・デュードニー
アスキー 1997-04

by G-Tools
4166601105 「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ



なお、本エントリーは「メディアリテラシーの習得練習-その2」となっていますので、当然「その1」が過去エントリーにあるわけですが、そちらの方は、今読むと記事へのただのツッコミになっている気がして恥ずかしいので、あえて本エントリーからリンクは貼りません(笑)


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