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読書レビュー「日中戦争見聞記 1939年のアジア」-1    

「日中戦争見聞記 1939年のアジア」を読み終えたので、印象に残った部分を引用しながら感じたことを書いてみたいと思います。ただ、印象的な箇所がとても多く、当時の日本や中国の様子を知るには貴重な本ですので、数回に分けてエントリーすることにします。

まずは、「一億人の百年計画(p.62~67)」の章から

一億一心で体当たり!一億の頭脳の中に一つの思想!ただ一つの思想に基づき、百年先を計画する。これが目標である。日本の首相(阿部信行)は数日前、「国民精神総動員委員会」で行った挨拶の中でこれをはっきりと表明し、告示した。
日本は二年以上にわたって戦争に巻き込まれている。この戦争は盧溝橋事件がもとで起こったが、元々望まれた戦争ではなかった。今日でも依然として「支那事変」と言われており、すでに軍隊が出征し、多くの血が流されているにもかかわらず中国における軍事作戦をまともに戦争と呼ぶことが、長い間ためらわれている。それに日本列島は敵国からもちろん遠く離れており、敵軍はどんなに努力しても、日本の辺境に一端にすら足を踏み入れることは出来ないであろう。
日本国民は相変わらず無邪気でほがらかで愛嬌がある-そして上品だ。地球上で日本人に匹敵できるほど、親切で礼儀正しい国民はないであろう。
しかし以前から日本人を知っているものにとっては、彼らの陰影が気にかかる。日本人にはきまじめな底流があることを見すごすわけにゆかない。だが、こうした態度を不安と見なすのはおそらくまちがっているだろう。むしろ私はこうした増大するきまじめさの中に、いつかは世界歴史の上で重大な影響を及ぼすような決意が秘められているように思う。


これは、タイトルにあるとおり1939年、つまり大東亜戦争勃発前に書かれた本です。その後、西欧のアジア植民地支配に対して重大な影響を及ぼしたのは史実として明らかですが、この頃からアジアの将来についての構想「東亜新秩序」というものがあったようです。

戦争にまで発展した「支那事変」に基づき、日本では「東亜新秩序」と呼ばれている、アジアに全く新しい表情を与える目標が設定された。
「東亜新秩序」という日本の目標を単に軍事的にのみ評価するならば、日本の目標を全く誤解し、過小評価することになるとわたしは信じている。民主主義諸国家特にアメリカにとって日本は好戦的国家であり、平和を望む中国を襲った日本人は好戦的「軍国主義」の国民である。こうしたありきたりの見解に従えば、日本は盲目的な征服欲に駆られ、中国において果てしのない軍事的冒険に乗り出したが、ついに日本は-人々が予想しているとおり-挫折すると言うことになる。
だが、極東に短期間滞在しただけでも、このような見解は問題を危険なほど一面的に見ているということがわかる。その為には何も盲目的な親日家である必要はない。ただ「支那事変」の二つの側面をよく観察し、中国人と中国文化のきわめてすぐれた特性を知り、かつ愛することが望ましい。
わたしはそもそも日本の欧化、軍事的成功とくに国際経済面での欧米諸国との経済的競争が、日本人の東亜を見る目、すなわち日本国民の精神面における基本的性格を曇らしてしまったと信じている。
日本人はすぐれた兵士である。そして好戦的民族であることにより近代戦においても危険な敵となる。そうは言うものの、こうした好戦的精神は日本の国民性のごく一部を占めるに過ぎず、おそらくその中のもっとも目立つ点でもない。きびしい戦時下に、重大な事物の成否が賭けられている戦争の最中に、花見をたのしむため、兵士達が中隊毎に引率され公園を散歩していることなど、西欧的概念を持ってしては直ちには理解できない。とりわけアメリカ合衆国でしきりに宣伝されているような、残忍非道な戦士としての日本人の観念には全くそぐわないであろう。
これを説明すると次のようになる。
日本人は単に戦士なのではない。まず第一に戦士、と言うわけでもない。そればかりか日本人はそれよりも強い度合いで、繊細にものに感じやすい魂と精神を重んじる人々である。
彼らは一般に霊的な価値を高く評価し、西洋人より、少なくとも西洋人がこれまで慣れ親しんできたより一層霊的なもの、精神的なものに身を入れて取り組んでいる。
国民精神総動員委員会の活動も、首相の声明もこの路線に沿っている。この両者は、アジア大陸における軍事的成果の基礎固めばかりでなく、これに大目標を与え、それに向かって一億国民の精神力を結集して努力させることを狙っている。


著者のコリン・ロスはドイツ人ですが、非常に冷静に日本人のことを観察していますね。国家間の問題は民族性や価値観の違いがその一因となることも多いですが、この当時、そこに着目して言及しているのは珍しいのではないでしょうか?

こうした目標は平沼騏一朗前首相(1867-1952.東京裁判で終身禁固刑、のちに釈放)の言葉に従えば、まず蒋介石政権の打倒、アジア大陸における日本の事業の確率、それに日本帝国の強化である。
しかしその背後にもっと大きなものがひそんでいる。しかもそれは日本の指導による大東亜連合の創設に他ならない。
平沼は明瞭な言葉を用い、「支那事変は日中関係を全く新しい基礎の上に置くことに成功したあかつきに、初めて解決されたと見なすことができる」と述べた。
東亜新秩序は次のような最終目標をかかげている。すなわち日満中三国は共同で共産主義を打倒し、密接な経済協力の下に新しい文明を築きあげるべきだというのだ。
しかしこの日本のプログラムをただ政治、経済面でのみ見るのはやはりまちがっている。このプログラムに先行する軍事的な征服にも、精神的動機が秘められている。
平沼は、日本国民の使命感を表明したのだ。こうした日本人の信念、使命感は普遍的であり、一方的に軍事的世界征服をうたっているのではない。少なくとももっぱら軍事的世界征服を企てているのではなく、日本を世界の模範にするのがねらいである。
最初は中国文化、ついで西洋文明を単に上手に模倣した国民としてしか日本人を見ていないものにとって、こうした考えはもちろんグロテスクな意志滑稽なものに思われるであろう。
しかし日本人はおのれ自身およびおのれ以外の世界との関係を、以前からちがった角度で見ている。彼らは自分たちが中国の文化を受け入れたものの、これを変容させることによって独自の文化、より高度の文化を創り上げたと考えており、さらに西洋文明と取り組んだ際にもにたような事業に成功したと確信している。
このような確信が正当かどうか、あるいはどの程度正当であるかと言うことはさしあたり論じないことにしよう。しかしこの確信に留意しないのも馬鹿げている。日本は西洋の理念と機械の盲目的、無批判の受容に終止符を打った。それに日本の受容の仕方は、欧米人が考えているほど盲目的ではなかった。
日本人は今日では、西洋から受け入れる思想を変形し、これに活気を与えることによって、ちょうど奈良時代、平安時代に中国の文物の精神的加工を行ったように新しい文化の花を咲かせるという使命感を抱いている。
確かに今回は、日本人は日本製の理念を本国にのみ制限しようとはせず、中国大陸にまで広げようとしている。こうした「天地の神道」を東亜全域に広めてゆくには、それこそ百年計画が立てられねばなるまい。この百年計画は、新しい人類の春が誕生することになる東亜永遠の平和のユートピアに他ならない。中国に血まみれの戦場を見たものには、こうしたこと全てが背理、不合理に思われるかもしれない。しかし日本の軍事的作戦および政治的、経済的措置の背後にある精神的、霊的な目標設定を正しく評価し得たときはじめて東亜将来の事態に対するかなり正しい予測が出来るものとわたしは信じている。



大航海時代から始まった西欧諸国の有色人種への蛮行に対しての鎖国政策、そして明治維新と、大転換しつつも「独立を維持してきた日本」という自信がきっと「東亜新秩序」構想の背景なのでしょうね。

このレビューの続きは、また改めて。。。

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日中戦争見聞記―1939年のアジア
コリン ロス Colin Ross 金森 誠也
406159608X

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