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沖縄集団自決は軍の命令だったのか?座間味島の場合-1   

【このエントリーを読まれる方への注意】
これは、あくまでも座間味島に於ける梅澤裕さんと宮城初枝さんとの間の話です。極めて限定された場所と人物についての話であり、沖縄各地で起きた集団自決を物語っているわけではありません。
時折「沖縄集団自決訴訟」だけをとりあげ、梅沢隊長(座間味島)、赤松隊長(慶良間島)の命令の有無だけを取り上げ「命令はなかった」という論調を見かけますが、それはこの問題を著しく矮小化し歪めていることに留意してください。

沖縄戦における「集団自決」と「住民虐殺」の事例一覧

(2007/10/29追記)


慰安婦の一連のエントリーが一段落したので、しばらくは「やまとことば」など、まったりとしたエントリーを書こうかなぁー、と思っていたのですが、沖縄集団自決についての教科書検定のニュースがありましたので、拙ブログでも触れておこうと思います。

日本軍「強制」は修正=沖縄戦集団自決に初の意見-高校教科書の検定結果・文科省 時事ドットコム
ウェブ魚拓はこちら

昨年8月にも、沖縄の集団自決については少し書いたのですが(過去エントリーはこちら)、いつかまとめて書いておきたいと思っていたことなので、これを機会にエントリーを書いてみたいと思います。例によって、私が読んだ本から引用紹介するスタイルで、何回かに分けた連載になります。


今回引用紹介する本はこちら。
母の遺したもの―沖縄・座間味島「集団自決」の新しい証言

この本は、沖縄の集団自決を知る上で非常に貴重な本だと思います。その理由は、追々書いていきますが、実は、3月31日の朝日新聞記事もこの本について触れ、引用していました。

(クリックすると大きくなります)

赤や青の傍線は私が引いたものですが、赤傍線部分が一番のポイントです。つまり、「村民の方から自決用の弾薬をもらいに行った」こと、そして軍の方では弾薬を渡さずに「お帰り下さい」と断っていると言うことです。

「お帰り下さい」と言ったのは、梅澤裕さんという方で、当時の座間味島守備隊長です。しかし、自決命令を出した当事者とされてしまい、現在、「沖縄ノート」を書いた大江健三郎と岩波書店を相手に謝罪と出版差し止めを求めて裁判で争っている原告の内の一人でもあります。

梅澤裕氏が「自決を命令した」とされてしまった理由の一つが、この本の著者宮城晴美さんの母、初枝さんの言葉にあり、初枝さんは亡くなるまでそのことに悩み続けたといいます。真相を語っても語らなくても、多くの人に迷惑がかかることになり、悩んだあげくに手記を書き上げ、それを娘の晴美さんに託した結果できあがったのが、この本なのです。

さて、上記記事の青い傍線部分のもこの本からの引用なのですが、朝日新聞の引用の仕方にやや恣意的なモノを感じますので、少しツッコんでおきます。
記事では、『兵隊に「日本女性として立派な死に方をしなさい」と手投げ弾を渡された』とだけ引用していますが、その前後の部分を読まないと誤解を生じそうです。下記に宮城初枝さんの手記の前後部分を含めて引用してみましょう。

米兵が座間味島上陸を開始、座間味部落が砲煙に包まれ出したので、日本兵が米軍に斬り込みに行ったその帰りを、宮城初枝さんら5人の女性達が山の中で待っている様子の部分です。

P.45~
山はまだ静まり返っていますが、座間味の部落の方からは、砲弾の音が絶えることなく聞こえてきます。私たちは、「斬込み隊の兵隊さん、うまくいったかしら」と、そのことばかりを案じながら待ちつづけました。もう、そろそろ引き揚げてきてもよさそうです。

「全員玉砕かしら。それともまだ到着しないのかしら」

不安はつのるばかりです。とにかく夜明けを待つことにしました。
夜が明けてくると、薄曇りの天気でした。待ちました。せめて一人ぐらいはと、上がってくる人影をひたすら待ちわびました。しかし、待てども待てども、兵隊さんは誰一人として姿を見せません。
辺りを見回しても、この山中には私たち五人しかおりません。急に孤立させられたような不安が襲ってきました。

「きっとみんな玉砕したのよ」

ついに、言ってはならない言葉が、誰かの口から出てきました。

「死にましょうよ。敵に捕らわれて辱めを受けて殺されるくらいなら」

異議を唱える者はなく、自決することが即、決まりました。私の手元には、手榴弾が一個あります。番所山で弾薬箱を受け取って出発する間際に、木崎軍曹から、「途中で万一のことがあった場合は、日本女性として立派な死に方をしなさい」と手渡されたものでした。

この手榴弾を使うことに決め、私たちの最後の場所として、焼け残りの椎の木の生い繁る深い谷間を選んだのです。不思議にも、ちょうどその場所には、一本のつつじの木に真っ赤な花が満開していたのです。覚悟を決めていたせいか、私たちは落ち着きはらって岩つつじの花束をつくり、自決の準備をととのえました。

朝日新聞記事では、『兵隊に「日本女性として立派な死に方をしなさい」と手投げ弾を渡された』としか引用していませんが、その前には、「途中で万一のことがあった場合は、」があるのです。つまり、手榴弾を手渡して「これで(今すぐに)死ね」と命令しているわけではないのです。

補足しておくと、当時は島の人達も兵士も、「米兵に捕まると、婦女子はさんざん弄ばれた上に刺殺され、男は道に並べられてローラーの下敷きにされてしまうのだ(P.36)」と思いこんでいたようです。ですから、木崎軍曹は、米兵に捕まるようなことになったら大変だから、彼女らの日本女性としての誇りを想い、「日本女性として立派な死に方をしなさい」と言って手榴弾を手渡したと読めますし、彼女らもそれに同意して受け取っているのです。

これは沖縄で数多くあった集団自決の一例に過ぎませんが、この木崎軍曹の手榴弾を手渡すという行為は「命令」と言えるでしょうか?

この手榴弾は不発弾であったため、彼女たちは自決に失敗します。その後、海岸の崖から飛び降りて自決しようと、海まで走るのですが、断崖から見下ろすと、すぐ下には米兵の表情がハッキリ見えるほど近くまで艦艇が押し寄せてきてました。
「万一これで死ねなかったら、彼らの捕虜になって軍艦に連れて行かれることになる」「死ねたにしても、彼らの眼前に死体をさらすことになる」(P.49)として、とりあえず自決をあきらめ、山中をさまよっている間に、村の人や梅沢隊長と再会、生き残ることができたのです。
「ご苦労だった。それにしても無事で何よりだった。本当によかった」
梅澤部隊長、内藤中尉が心から私たちの労をねぎらい、その無事を喜んでくださいました。

(P.51)


この梅澤氏は、その後、集団自決命令の当事者とされた結果、職場にいられなくなり仕事を転々とし、息子は反抗、家庭が崩壊してしまう(P.263)など、その後、非常に辛い人生を歩むことになってしまったようです。そして、この本には、宮城初枝さんが梅澤氏に再会し、「命令したのは梅澤さんではありません」と伝えたシーンについても書かれています。

しかし、慰安婦問題と同様の論理のすり替えが、朝日新聞の記事には見て取れます。


宮城さんは、軍の方針の「共生共死の一体化」と、米軍への恐怖心を植え付けられたことが背景にあり、「『国家』による『死の強要』以外の何者でもなかった」と記す。(上記朝日新聞記事の最後の部分)

上の「宮城さん」は初枝さんの娘で著者の晴美さんのことです。晴美さんは戦後教育を受けた人で、母親の初枝さんとはかなり考え方が異なっているようです。
それはさておき、朝日新聞が晴美さんのこのコメントを記事に引用しているところなど、私は慰安婦の「広義の強制」のような論法と似たものを感じます。つまり、具体的な「自決命令」があったかどうかが怪しくなってくると、「国家による死の強要」と、話をすり替えてくるんですね。このあたり、「ぼやきくっくり」さんも同じ様なことを指摘なさっています。

ぼやきくっくり | 「集団自決に軍関与」高校教科書から削除


今回は、たまたま週末に帰っていた実家で朝日新聞を読んだので、ちょっと取り上げてみましたが、次回からは、この「母の遺したもの―沖縄・座間味島「集団自決」の新しい証言」から引用しながら、集団自決の背景を考察してみたいと思います。


ちなみに、手記を残した宮城初枝さんと梅澤裕氏の話は、下記の櫻井よしこさんのブログがわかりやすくまとまっていると思います。
「 沖縄集団自決、梅澤隊長の濡れ衣 」櫻井よしこ









母の遺したもの―沖縄・座間味島「集団自決」の新しい証言 母の遺したもの―沖縄・座間味島「集団自決」の新しい証言
宮城 晴美

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コメント

それにしても、旧軍を糾弾する体質はいささか根深いものがありますな。
今までは特に、こういう戦中世代の生の証言よりも、戦後の植え付けられた先入観によって戦前を見ていた。少なくともそういう空気が日本社会に蔓延っていた。そんな気がします。
そういう意味でも、それらを先導した朝日新聞などの左派マスコミは、拒否反応を起こしているんでしょうか。

しかし、つくづく思うのは、戦後の歴史教育というのは非常にやっかいな代物であると。
一度、植えついた先入観からなかなか脱せないというのが実情のような気がします。
私は友人と最近、この手の話題を話しますが、結局のところ、ネガティブな歴史観が根底にあるがために、なかなか核心にまで議論が行かない。ついつい感情的に、または拒否反応を示し、そこから先に進まない、というもどかしさを感じたことがあります。
また、歴史を知らないからといって、本を読んで学ぼうともしない・・・。一種の食わず嫌いの現象があるような気がします。
そういう意味で教育って非常に大事なんだな~と大人になって感じました。

おっと、また本題からそれてしまいましたが、やはり組織的な軍命令があった否かは隊長の名誉回復のために、修正すべきであると考えます。

そもそも、生きるか死ぬかの戦場での出来事。敗戦という結果から判断するのならばどうとでも言えるが、どう死にどう生きるかというその場の極限状態を考慮しなければならんのじゃないかとも思います。
私がもしその立場だったなら、自決の道を自ら選ぶことも考えたと思います。もちろん、死にたくないけど、どうせ死ぬなら・・・という日本人的観念が働くだろうと思われる。

>くわっぱ上等兵さん

学校で習ったことというのは、ふつうは無条件で信じ込んでしまいますからね。ですから今回の検定はあたりまえのことだと思います。
「一種の食わず嫌いの現象」は、「戦争について考えるということ」のエントリーで引用したように、思考停止の状態なんだと思います。もちろん本人はまったく気づいていないわけですが。

>私は友人と最近、この手の話題を話しますが、結局のところ、ネガティブな歴史観が根底にあるがために、なかなか核心にまで議論が行かない。ついつい感情的に、または拒否反応を示し、そこから先に進まない、というもどかしさを感じたことがあります。

つい、感情的になってしまうのは、自分もそうでしたし分かります。
ただ、最近は、「この人はなんでこういう考え方をするようになったのだろう?」って思いながら話をすると、わりと冷静でいられることに気づきました。「いったい何が、この人をそうさせているのか?」ということです。

そこがわかってくると、なにか大きな誤解をしているのであれば、自分の知識の範囲で指摘してあげることもできます。逆に、根底の思想から異なってしまっていると、「いくら話しても無駄かな」って早々にあきらめもつきます(笑)

私は最近、自分とは反対の意見の人のブログによくコメントしているんですけど、上述したようなことを考えながら冷静に書くようにしています。
それでも、削除されたり、無視されたり、ネットウヨ扱いされて罵倒されちゃうんですけどね(苦笑)

質問

特に次の部分が引っかかります。

当時は島の人達も兵士も、「米兵に捕まると、婦女子はさんざん弄ばれた上に刺殺され、男は道に並べられてローラーの下敷きにされてしまうのだ(P.36)」と思いこんでいたようです。

さて、誰がそのように思いこませたのでしょうか。
誰がそう教えたのでしょうか。
情報が統制されていた当時、そのような根拠もないことを「島の人達も兵士も」という具合に、一網打尽に洗脳できるほどの機能を備えた機関はどこがあったでしょうか。

>軍より民を さん

はじめまして。コメントありがとうございます。

ご質問の件、至極ごもっともです。また、この集団自決問題を考える上での非常に重要なポイントだと思います。「命令」という形式でなかったにしろ、住民を死に向かわせたのは何なのかということですね。

>情報が統制されていた当時、そのような根拠もないことを
果たして、「根拠もないこと」と言い切れるでしょうか?
海外で日本人が組織的大量に虐殺される事件があり、国民はそれを報道で知っていました。アメリカの日本人蔑視政策は、日本本土にいる日本人の大いなる怒りを買っていました。そういう背景も考慮しないといけないと思いますよ。

拙ブログでは、こういう関心の高いテーマについて、複数回のエントリーに分けて連載するという形をとっていますが、この点はもちろん触れていきます。
私の意見を今後述べていきますので、ぜひ、またお越し下さると幸いです。
もったいぶるような返信で申し訳ありませんが、エントリーの本文でしっかり書きたいことなので、何卒ご容赦下さいませ。

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