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終戦前の日本から学ぶべきは何なのか-3   

先日から紹介している「日本史から見た日本人 昭和編」を読んでいくと、戦争責任をA級戦犯だけに押しつけるのはおかしいと思う気持ちが強くなってきます。
あの大戦を振り返るときに、A級戦犯に責任を押しつけて「はい、おしまい」と言うわけにはいきません。当時の日本に学ぶべきこと、反省すべきことはもっとたくさんある、それを踏まえて今後の日本国憲法や政治・外交・教育のありかたを考えることこそが「進歩」だと思います。

ところで、内閣が変わったことにより、また歴史認識云々が言われておりますが、歴史認識など人によって千差万別、なぜかと言えば人によって持っている史実の情報量と立場が違うからです。いつも拝読している「日本史から見た最新ニュース」さんの『「単一化」から「八百万」』というエントリーにはとても共感したのですが、価値観や歴史認識の違いをもって対立するのは全く無益であり、多様性を認めることこそが大切だと思うのであります。

立場によって歴史認識が変わる例は、あえて挙げるまでもないかも知れませんが、例えばアメリカ独立戦争はイギリスにとって見れば植民地の叛乱であり、米国建国の英雄とされるジョージ・ワシントンだってイギリスから見れば反逆者です。先の大戦は、アメリカから見れば「太平洋戦争」かもしれないが、日本から見ればどう考えても「大東亜戦争」です。(「大東亜戦争」と言うと、戦争の肯定とか美化とか騒ぐ人がいますがそれはちがうでしょ。)
そんなことより、偏向した情報や当時のプロパガンダがいまだに真実であるかのように捉えられている現状を糾していくことが先決だと思います。より多くの新たな情報に触れれば歴史認識は更新されていくものだと思います。拙ブログが少しでもそう思う人のお役に立てればと願いつつ、エントリーを続けようと思います。

-----
前置きが長くなりました。前回の続きから引用してご紹介します。

伊藤博文は、明治憲法発布の同年に「帝国憲法義解」という本を出版していて、その中で統帥権については簡単に天皇に属することを述べているそうです。著者の渡部氏曰わく、「徳川幕府を倒すことに自分の命をかけた維新の元勲にしてみれば、陸海軍は天皇直属だ、と明記したかった」としています。そしてこの本以外に明治憲法条文の本当の意図を知る資料として、戦前に清水伸氏が著した「帝国憲法制定会議」という本があるそうです。それによると、明治憲法の精神は四権分立どころか、本当は立法(議会)と行政(政府)の二権分立であったようです。(司法は行政権の枝)
P.28~
「・・・統治の大権は大別して二となる。いわく、法権、いわく、行政権、而して司法権は実に行政権の支派たるに過ぎず・・・」
(略)
しかも、元首(天皇)の意志は直接に国権の表現となることはなく、全て各部機関の輔翼を通じて行われるとしている。さらに、「君主は憲法の範囲の内に在りて其の大権を施行するものなり」と言って、天皇機関説であることも明らかにしているのである。統帥権が政府や議会と並ぶ権威があるなどという考えはまったくない。
昭和15年に世に出された清水伸氏の「帝国憲法制定会議」ですが、実は1000部ぐらい出ただけで、たちまち内務省により発禁になってしまったそうです。
昭和15年に明治憲法制定のプロセスを研究した学術書が発禁になった理由もこれで明らかである。昭和15年といえば、日華事変が勃発してすでに3年、満州国が建てられてからすでに8年、統帥権干犯問題からすでに10年である。これらの事件は、全て統帥権が政府から独立しているという憲法解釈に基づいて、日本の軍部が引き起こした事件である。
それが昭和15年になってから、明治憲法では「統帥権は行政権の下につくことになっていたのだ」などと言われれば引っ込みがつかない。しかも、すでに
100万と言われる大軍が交戦中である。とても議論を10年前に引き戻せる状況ではなかった。
軍を軽視していた明治の元勲 P.29~
それにしても、残念なことであった。もし、明治憲法制定のプロセスがもっと早く解明されていたならば、各条文の意図も明確に把握されていたわけであるから、そうすれば昭和5年の統帥権干犯問題も起こらず、昭和10年の美濃部達吉の天皇機関説も問題化しなかったことであろう。つまり、軍による政治支配は起こらずに済み、日本が戦争に突入することを回避できたであろうという公算は、すこぶる高いのである。
念のために書いておきますが、上記はあくまでも開戦についての日本の内的要因に触れた箇所であり、開戦の要因としての外的要因について著者が無視しているわけではありません。この本では外的要因についても具体的に指摘していますので、後日ご紹介いたします。
伊藤博文が明治憲法をもう少し詳しく書いてくれていたら、昭和初年の、軍の御用学者による統帥権の珍解釈も起こらずに済んだであろう。この点も、はなはだ残念なことであるが、伊藤が憲法起草に努力していた明治10年代後半の状況を考えれば、それも無理はないといえる。
(略)
西南の役の後に軍人の比重が下がった時に、軍人に対して幅の利く伊藤が起草した憲法なのだから、統帥権といっても、それが首相の権限と同格だというような発送は、彼の頭の片隅にもなかった。なかったから、統帥権が政府から独立して、勝手に歩き出さない歯止めになるような条文を、明文化してつけなかったのである。
(略)
近代日本は、維新の元勲達がこの世を去ってから急に悪くなった、とよく言われているが、その原因はここにあるといって良いであろう。
(略)
明治憲法の第11条が簡潔に過ぎ、しかも、その趣旨を書き記した文書の発掘が10年遅かったことが、昭和前期の日本を軍国にしてしまったのである。風が吹いたら桶屋が儲かるぐらいの因果関係の連鎖は、あるのではないか。
このように、時代が進むにつれてその問題点が顕在化してきた明治憲法ですが、当時、憲法改正の話は出てこなかったのでしょうか・・・?

 P.35~
明治憲法は「不磨の大典」と称えられ、そう国民は教えられてしまった。不磨ということは、絶対にすり減らない、つまり絶対に変えられないということに等しい。
もちろん、明治憲法にも、改正に関する規定が第73条にあることはあるのだが、これとは別に憲法発布の勅語があって、ここには、憲法改正のための発議権は天皇にしかないと明記されている。こう書いてあっては、戦前の日本人は憲法の不備に気が付いたとしても、畏れ多くて「憲法改正」などとは、おくびにも出せなかった。
つまり、明治憲法は、文字通り「不磨の大典」であった。その欠陥の故に大戦に入らざるをえなくなり、敗戦になった。そのため、明治憲法はすり減ること(改正)はなかったが、全部廃止されてしまうことになる。憲法は不磨であってはならなかったのだ
時代が変わったり不備が見つかれば、やはり法律は見直しされるべきなんでしょうね。
「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」
この前文がむなしく聞こえるようになってしまった今の時代、国民を守るための自衛権さえ放棄しているようにも解釈できる今の憲法はこのままでよいのでしょうか・・・。
また、憲法解釈を変えて運用することの危険性については、護憲派の意見にも一理あると私は感じています。だからこそ、解釈変更や拡大ではなく、改正した方が良いと思うのですけどね。

次回も、もう一度明治憲法の欠陥を解説した部分から引用して紹介しようと思います。

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日本史から見た日本人 昭和編―「立憲君主国」の崩壊と繁栄の謎
渡部 昇一
4396312024
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コメント

日本人の手で

>>解釈変更や拡大ではなく、改正した方が良いと

激しく同意です。願わくば、現憲法を無効として、新たな憲法制定となれば、なおいいと思っていますが、ここは意見の分かれるところでしょうか。



>小楠さん

GHQ占領時の憲法を改正するかか自主憲法制定か、と言うところでは理想は後者ですが、実現可能性ではやはり現憲法改正にならざるをえないかも知れませんね。
憲法改正への拒否感はだいぶ薄れてきたと思いますが、それでも漠然と「9条は残した方がいいのでは?」と思っている国民も多そうですし・・・。

話は変わって、おしょうさんのところで話題になった「やまとことば」ですが、良い本がありますよ。(おしょうさんのところでも再コメントしてきました)

「ひらがなでよめばわかる日本語のふしぎ(中西進 著)」
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4093874522/ref=sr_11_1/250-3729043-8196245?ie=UTF8

今の連載が堅めの話なので、このあとはこの本から引用紹介してみようかなぁと思いました。

やまとことば

おはようございます。
いい本がありましたね、
>>このあとはこの本から引用紹介
是非教えて下さい。楽しみにしています。

やまとことば

>小楠 さん
そう言っていただくとやり甲斐があります。ありがとうございます。

今の連載が結構長くなりそうなので、少々お待ち下さいね。

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